オーディオの世界
 2017.12.10
2.マトリックスTQWTバックロード
 2017.11.23
1.マトリックスTQWT
平井則行
マトリックスTQWTのヘッドをバックロードホーン方式に改良しました。これにより、ふくよかな中・低音が実現し、素晴らしい音になりました。
マトリックス部の内部は左右独立し、再生下限80Hz(音道1m)の小さなホーン・ロード部となりました。ホーンは左右に開けられ、さらに豊かな音場となりました。
 
 ヘッド内部を独立したことによりヘッド内での干渉はなくなり、それに起因する2kHz付近のピークは消え、全体に際立つピークやディップの感じられないなめらかで聴きやすい音です。ボーカルは温かく、春の祭典が美しい音楽であることを再発見しました。

バックロード・ホーンの内部は右の写真のように左右対称に構成され、ホーン開口は左右に向いております。これにより、中音と中低音はさらに左右に広がりを持つマトリックス音場が出来、初期の密閉タイプより豊かな広がりをもたらしました。
 バックキャビティは定常波の出来にくい三角形をしており、特に、吸音材は必要ないようです。
二つの10cmフルレンジ・スピーカー(8Ω)と一つの16cmウーファー(8Ω)でマトリックス音場を創成することが出来るオリジナルなシステムです。

 長岡鉄男のマトリックス・スピーカーMX-1は4つの16Ωフルレンジスピーカーで構成され、箱の内部で逆位相のスピーカーが同居するために低音が一部キャンセルされて、低音不足という欠点を持っていましたが、私の開発したこのシステムは独立した低音部を持つために、この点が大幅に改善されております。また、少ないスピーカーで出来上がるために、コンパクト克つコスト面でも大変有利です。

低音部には30Hzまで再生するTQWT方式(右写真参照)を採用することにより、超低音まで伸びた自然な感じの低音が再生可能です。また、折り返しのラビリンスで構成されるために、吸音材無しでブロードな共鳴音を得ています。
3.Tマトリックス接続
2018.5.3
このシステムの本質は、左右のスピーカーの接地端子を結合し、もう一つのスピーカーを通してアンプのグランドへ落すことにより、左がL−αR、右がR−αLとなり、その下のスピーカーからはα(R+L)が出力されることによる、一種のマトリックス結線であることから、空間に合成される音場が左右だけでなく上下にも立体的に出現する独特なものになり、いたずらに左右に広がり分離した従来のステレオとは異なる、リアルでまとまりのある音像をつくる新しいタイプのスピーカーシステムです。
 不思議なことに、低音が聴感上増大し最低音がよく聴こえることと、ソロ演奏楽器などが中央にしっかり定位し、耳に心地よく、聴きやすいのが特徴です。既存のスピーカーシステムを組み合わせることにより、簡単に構成できるので、ぜひ、その独特の音をお楽しみください。きっと、もう、以前のスタイル、左右に独立のスピーカーを広げて置く、いわゆるステレオには、もう戻れなくなることでしょう。

 真ん中が故長岡鉄雄氏のマトリックス結線図で、右が私の考案したTマトリックス結線図です。長岡鉄雄氏の結線では、中のスピーカーからは通常の左右の音が出て、左右に書いてあるスピーカーからはR−L、L−Rという差信号が出ています。これを、一つのコンパクトな箱にまとめて取り付けて、空間に広がりのある疑似的な4chの音場をつくろうとしたもので、私は、これと同等な音場をたった2つのスピーカーで作れないかと考え、二つの左右スピーカーのマイナス側を結合し、8オームの抵抗を介して、アンプのマイナス側に落としたものを、最初考案しました。これは、非常に面白い音場を作り出してくれました。サラウンドになり、特に電話の音や環境音がとんでもない方向から聴こえてきてびっくりしたものです。しかし、長岡氏のものもそうでしたが、小さい箱に入れなければならない宿命上、はなはだ低音不足のものしかできませんでした。最近、この8オーム抵抗の代わりに、8オームのウーファーをつけてみたらどうなのかと気が付き、遊んでいたユニットを使い、構成してみたら、見事、マトリックスの特徴をもって、かつ、低音豊かなシステムが構成されたので、長岡鉄雄氏の意を汲み、はじめはフルレンジで作りましたが、マルチ・ウェイでも問題ないことを発見したので、低音増強のシステムにかかわりなく、結線のみを強調して、Tマトリックス接続と命名し、発表することにいたしました。左右の広がりを担当する二つのスピーカーが、若干外向きに配置され、その下に低音部を担うスピーカーを置くことで、上下方向にも広がりを持ちます。音がひとつにまとまり、生物のように動くような感じは、奇跡を見るようです。決して、左右に大きく広がりませんが、生き生きとしており、すべての音源が初めて聴くような感じがします。ビートルズなど、録音スタジオの中で聴くような生々しさです。私は、密かに、再生技術の革命を起こしたのだと自負しています。この接続方法が、ステレオ誕生時に採用されていたら、オーディオの歴史は、もっと違ったものになっていたでしょう。場所を取らないシステムですから、今ほど、家庭内で騒音公害を責められずに、好意的に受け入れられていたことでしょう。なにしろ、オーディオといえば、お父さんの道楽のひとつの象徴で、邪魔者扱いの現状ですから。このシステムのもうひとつの利点、閉じた音場ベクトルにより、部屋の外に漏れる音が最小限で済み、騒音公害を緩和するからです。聴いているごく狭い範囲内で、豊かな低音とリアルな迫力のある音楽が楽しめるのです。
選択
1.マトリックスTQWT
2.マトリックスTQWTバックロード
3.Tマトリックス接続

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