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ダイオード・ペア電源

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なくなった電池の自動リカバリ機能

はじめに

5本直列電源は全く問題がなく有効で、お勧めですが、その回路特性上、唯一改良の余地がありました。
1本でも容量の小さな電池が混じっていた場合、直列であるためにそのダメ電池が原因で、ふたたびすぐ切れてしまう。
ダメ電池は何本もなく、経験上多くの場合1本である。そこで、この1本を迂回する回路があれば良いと考え、次なる回路を考案した。


1.ダイオードペア・5本直列電源

この回路は並列にしたダイオードを、なんらかの原因でブレイクダウンした電池の
自動リカバリとして使う方式である。いわば、バイパス・ダイオード。

DIODEPEA6.JPG - 4,902BYTES

注)図では電池は6本直列になっているが
初めは使用済み電池5本である。勘違いしないように。
ケースの関係で、電池を6本までとりあえず直列に出来るという意味で6本書いてある。

解説

バイパス用のダイオードはこれに平行に入る。電池に一つずつダイオードがペアとなる。だから、ダイオードペア。
5本直列なので電圧は十分だから、いやでもカメラに使われて切れた電池は、逆さになっても鼻血のでないほど空っぽになる。
すると、1Vを切った電池は急激に内部抵抗が増大する。直列だから急激なリクエスト電流に対して対応できない。
他のメンバーに迷惑を掛けるぞ。どうすんだ!

そこで、ここからがこの回路のミソというか醤油というか塩バターなのである。ダイオードがバイパスしてくれているので、
切れた電池は回路の主流から外れる。(ほんとは取った方がよい!)
ここに、更に使用済み電池を開いていたダイオードのところに追加すると〜っ、
復活するのである!
やったー!画期的ー!


というわけで、うまくいくかどうかは結果が決める。
私の直感が正しければ、電池の極性逆転現象が始まる前にバイパスがはじまる。
すなわち、電池の内部抵抗×電流値がVfを超えたときから、バイパスが始まる。
電池にはしたがって、極性逆転という恐ろしい出来事が起こらない。
ばんざい!

注)現在、ニッケル水素電池の過渡応答についての基礎研究をしております。
オシロスコープで見る限りは、過渡応答が出ております。
急激な負荷抵抗の減少で電流が急増したときの電池の両端電圧波形に時定数があります。
トランスを使用したAC電源(スイッチング電源も)では、1次コイルの磁界の変化に対する逆起電力による
2次コイルの電流によって所定の電圧を得ております。したがって、いわゆる光速で
電圧リカバリーが起こり、時定数はあるにしても小さいのではないか。
一方、化学変化に頼る電池の場合はイオンの動き(拡散)で起電力が発生します。これは、遅いのではないか。
すなわち、時定数は大きく、過渡応答として動的な内部抵抗の値は桁違いに大きいと考えます。
すると、どういうことになるでしょう。
一瞬だとしてもダイオードの導通条件が成立し、バイパスが起こります。

静的な電流の考察からはダイオードに電流が流れる条件は、そこに並列に入っている電池がVfだけ逆電位になることです。
この話は、文字どおり電池の極性反転です。
別なページで述べているCanon PowerShotPro90ISのニッケル水素電池6本直列電源で、
1本の電池だけ0.2Vを示した減少がこれの前兆でしょう。不思議なのは、それでも、カメラは動いていたことです。
電池の内部抵抗はひと筋縄では行きそうにありません。

注)後の水の電気分解実験とそこからの考察で、
転極の危険も水素吸蔵金属の酸化による劣化の畏れもないことが判明しました。

ともかく、やってみます。


ショットキーバリア・ダイオードを各電池に並列に入れた
(日本インター 整流用ショットキーバリアダイオード11EQS10:10本1組360円×2)

DIODE_PEA.JPG - 46,255BYTES

ダイオードを2つ更にペアにしているのは、購入した物が電流容量は十分だが
2つ並列にして内部抵抗をさげるため。1本だとダメです。
(後述の理由によりダイオードの並列使用は有効です。)
左の黒いのはN様のアイデアによるコンデンサ4700μFです。
コンデンサーを追加することで、起動可能となった事実があります。
(これが、時定数を下げるのかどうか非常に興味が出てきました。)
よって、今回は必需品です。N様に心から御礼を申し上げます。
(N様のは銀極板でさらにゴージャス。)

完成した物を使って実際に撮った写真
電圧をモニターしながら、かつプアマンズ・ツインストロボ・タイプTで撮影。
DIODE_PEA2.JPG - 47,027BYTES

5Vですね。そして、直列6本目にはまだ電池は入っていません。
5本直列の状態に、更に、ショットキーバリアダイオードが直列に入っていることに注意。
カメラはダイオードからの出力で動いているのです。意味を考えてください。
この段階で、どれか1本切れてから、6本目の電池を追加します。

写真でおわかりでしょうか5本目はアルカリ電池です。
1年前にDiMAGE7で使われた、まだまだ使える使用済み電池。(電圧1.48Vぐらい)
(これがビニール袋の中にいっぱい残っています。)

2.実験開始

従来の使用済み電池が5本の状態で、実験的に近所の被写体を撮ってきた。
大した景色はないのでプアマンズ・ツインストロボ・タイプXで
マクロ撮影ばかりやって、37枚で電池は切れた。
全部、ストロボ発光だから、普通の撮影では40〜60枚程度には撮れるはずだ。
ここで注意しなくてはならないのは、
プロトタイプの5本直列よりダイオードが直列になっている分、不利だと云うことである。
最後のダイオードの部分をショートさせておけばもっと撮れるだろう。
しかし、この改良版ダイオードペア電源は、1回目の電池切れてからが勝負。
ここからが、真骨頂である。
最終的には、フル充電した8本の電池を持っていき、
並列ペア4本電源で使いきり、
さらにダイオードペア電源で使いきる。
最終的に電池は絞りきられて1.0V。

放電器などはいらない。充電はすぐ始まる。エネルギーの無駄遣いなし。
地球に優しい電池の使い方である。

謝辞:FlowerEnperor様に敬意を込めて、ここに感謝の言葉を述べさせていただきます。

10月19日(土)昼
(10月25日改訂)


3.ダイオード・ペア電源オリジナル

フル充電されたニッケル水素電池を使い果たすべく6月30日に考案された次の回路は
ショットキーダイオードの閾電圧Vfの高さが予想に反して0.4V以上あって、内部抵抗が6Ω程度のデジタルカメラでは、
電池に直列にした部分の1Aに対する損失が0.4W(7%)と大きすぎ、DiMAGE7の電池の持ちを改良する目的には向かない。
ただ、こちらでは逆方向に電流は全然流れないので、極性反転も電極板の酸化も起こらない。
高電圧小電流の回路で威力を発揮する優れた回路である。

5SEREASE.JPG - 4,850BYTES

そこで、方針を変更して、5本直列電源の路線を発展させることにしたのが上の回路であった。


4.備考


私が手に入れたショットキーダイオードは予定より小ぶりの物だったようで、
価格コムの「おぎ」様よりの指摘と提供していただいた資料に依れば
以前見たデータより順方向の閾電圧値Vが25℃で、0.2Vより大きい0.4Vぐらいの物でした。
「おぎ」様、下記のように、お陰様で定量的な議論をすることが出来ました。
大変感謝申し上げます。有り難うございました。
これからもよろしくお願いします。


下図参照
VI_CURVE.JPG - 49,358BYTES       

日本インターの資料より抜粋

この結果、起動してスタンバイ時の電圧が5Vということになりましたが、
起動してしまえばこっちのもので、
DiMAGE7は4Vで動作可能であることはわかっておりますので、
内部抵抗さえ小さければ、その後はどれかがなくなるまで電圧降下は小さく、
多少のスレッショルド電圧の大きさは問題ありません。
肝心の内部抵抗ですが、2本並列にしたことにより1本の時より半分になっております。
さらに、大きなダイオードを使えば、内部抵抗はさらに小さくなるでしょう。
上の図を使って、ちょっと計算してみましょう。初め、電圧/電流=抵抗という簡単な考えかたで出してみます。

☆絶対値V/Iで抵抗を計算。

上図V−I曲線から計算される内部抵抗は
電流1Aで0.82V必要なので、0.82Ωです。
0.5Aの点を見ますと0.68V必要なので1.36Ω。
カメラが1Aの電流をリクエストしたとき、1本当たりは0.5Aなので抵抗が1.36Ωとなります。
が、並列なので半分の0.68Ω
となり
1A流れていて電圧は0.68Vの電圧降下と云うことになります。これが、1本だと0.82Vなのです。
ご指摘の、並列にしても電圧降下は一緒の筈ですが、というのは間違いです。



結論的に申しますと、1Aのリクエストでの電圧降下はそれぞれ1本だと0.82V、2本で0.68V、3本で、0.67Vとなります。
ついで、1.5Aのリクエストが来ますと、電圧降下は1本で0.86V、2本で0.81V、3本で0.68Vとなります。単純に増加はしません。

☆微分抵抗凾u/凾hの話。

上のグラフは縦軸が対数目盛で見慣れない方にはわかりにくいかも知れませんが
我々に必要かつ重要な動的内部抵抗は電流値の増加分に対する電圧の増加分の比です:つまりV−I曲線の微係数(曲線の傾き)です。
これはグラフが小さくて見にくいのですが、1.3A付近でΔV/ΔI=0.08V/0.2A=0.4Ω、0.5A付近では0.18V/0.2A=0.9Ω位
0.2A付近では0.2/0.08=2.5Ωと電流が少なくなって来ると急激に大きくなります。そして、ついに
0.1A付近では0.02A増やすのに0.2Vかかりますから微分抵抗は10Ωとなります。

スイッチング素子

このように電流をゼロから増やしてくると、急にある電圧から電流が流れ始めるように見えます。
この電流が流れ始める電圧を閾値(スレッショルド電圧)、もしくは使用中に流れるように掛けておく必要があるという意味でバイアス電圧ともいいます。
これは出来ればゼロであることが理想です。
そして、流れ始めたらわずかな順方向電圧でものすごく流れて欲しいわけです。つまり、内部抵抗がきわめて小さいこと。
この特性は、一般的にスイッチング素子として求められる基本的な特性です。そういうわけでショットキー・バリア・ダイオードに目を付けたわけです。

さて、ニッケル水素電池の内部抵抗が加わって更に電圧降下が起こります。
ニッケル水素の内部抵抗はこれより一桁小さいぐらいですので、いずれにせよ、DiMAGE7シリーズの活動で起こる電圧降下は
0.9Vの範囲内に収まるでしょう。
ある意味、ちょうど電池1本分みたいなものですから、最初から6本でスタートしても良いぐらいです。
しかし、5本でスタートを切るのが王道です。

考察および今後の予定

どのみち、なくなった電池を交換しなければならないことです。それを、どうやって見つけるか?
もちろん、取り出してテスターで1本1本測ればわかるのですが面倒です。一つアイデアがあります。
次は、もっと抜本的な解決へ向けてただいま新案を具体化しようとしております。乞うご期待!

つぶやき

しかし、人間ってやつは急には進歩しないもんだ。
アイデア小出しで済みません。
10月21日

消耗電池の内部抵抗について

起電力の切れた電池は内部抵抗が著しく大きくなっております。
この段階からダイオードが働くと考えておりますが、それまではダイオードには電流が流れません。
この点をもう少し詳しく調べておく必要性に迫られております。
すなわち、ダイオードに電流が流れるためには電池の残留起電力が少しでも残っておりますと、静的な考察では電流は流れません。
しかし、実際にはパルス状のリクエスト電流による過渡応答で、静的な話ではないはずです。
そして、このリクエスト電流が急激に大きくなったときの過渡応答により、電池の内部抵抗が極限まで大きくなるのか、それとも、極性反転が起こって
マイナス起電力(これが判りません)になり、ダイオードのVfを超えるのか、実は判っておりません。
すべては、結果オーライで使っていることをお断りしなければいけないことを明記しておきます。
なにぶんにも何が起こるか判らない化学変化による起電力です。
私自身で何とか調べてみますが、それまでにどなたか判る方がいらっしゃっいましたら、教えてください。
10月24日

その後の検討結果から光明が見えてきました。はっきりしましたら発表します。
−0.4V程度では、ニッケル水素電池に極性反転は起こらないのではないか?です。
10月29日


5.新型5本直列電源の成功を受けて


リボルバー電源の考案

この方式を6本直列電源に応用します。
すると、電池の配列はプラスマイナスが交互に並ぶようになります。
電極を固定して、電池を2つ分回転すると同じ配列になります。ここに、次のアイデアが眠っているわけです。
切り替えスイッチを出力コードにつけますと、1本だけ常に浮いていますから、一つ回転するたびに極性を反転すれば
手動ですがダメ電池を摘出できます。
 ひとまずアイデアだけ発表しておきますが、実現はその気になればすぐです。
というか、もうやりかけております。
その気になったら完成報告をいたします。
あまりに転回が速すぎて、私自身追いつきません。
まずは出来たばかりの新型5本直列電源の試用レポートが先です。
申し訳ありませんが、リボルバー電源の報告は気まぐれにいたします。
風任せ〜♪

10月27日深夜というか早朝?



6.水の電気分解実験

ニッケル水素電池は正極に水酸化ニッケル、陰極に水素吸蔵金属(ランタン・6ニッケル合金など)、
電解液に6Nの水酸化カリウムで構成された2次電池(充電可能)である。

まず次のサイトを見てください。
http://yoshinari.mse.nitech.ac.jp/H_in_M/Ni-Hbat1.html
ニッケル水和物からのHプラスイオンがやってきて陰極である水素吸蔵金属に達し、水素の泡になるところを吸収して水素原子を取り込みます。
これが充電です。この逆が放電で、水素原子はイオンとなってアルカリ電解液を中和していきます。これが放電。電解液が強アルカリ液であることから
電流はどちら向きにも流れそうです。そこで、水の電気分解実験を思い立ちました。
いったい何Vから電流は流れ始めるのか。
そして、このときの電気抵抗はどのような変化をするのか。
興味深いですね〜♪

というわけでデータを取りエクセルで図を書かせました。
WATER.JPG - 23,562BYTES

実験結果

実験は、最も小さなビーカー(5cm径)の中に鉄の電極を2枚向かい合わせ、
KOHがなかったので、Kの次にイオン化傾向の大きいNaで、
水酸化ナトリウム溶液6Nから0.3Nまで5種類の濃度で実験した。
電極を鉄にした理由はニッケル板がなかったことと、電極板の酸化が起こったら観察しやすいと考えてのこと。
まあ、ともに遷移金属で同じようなイオン化傾向でしょう。5つの実験の結果、次のような項目に整理できる。

1.電流は電圧がどんなに小さくても、それなりに流れる。 0.1Vで3[μA] レベル。
2.ある閾電圧2.1Vに達すると突然電流値が大きくなる。その直前までは500[μA] 
3.水の電気分解は1.6Vぐらいまでは、殆ど泡が見られない。
4.1.7Vぐらいから小さな泡が上がりはじめ、1.9Vに達するとはっきり見え始める。
5.2.1Vを超えると、連続的な泡のたち登りが急に激しくなる。それ以降は電圧に比例して泡の量が増える。
6.電流値は濃度にあまり依らない。

【考察】

大きなグラフが電流のグラフです。そうそう
電流値と抵抗値は、濃度による違いが殆どみられなかったので、5つの実験を平均しています。
中の小さなグラフが電気抵抗のグラフでちょっと妙な曲線ですが
電圧を増やすと30kΩ位から60Ωまで減少します。この比は1/500倍に相当します。
電極の大きさは1平方cm位で極板間の距離は3mm位でしたから、電気抵抗は実際の電池ではもっと小さな値です。
ニッケル水素電池は順方向で1.2Vのとき0.056Ωですから、0.4Vでは2Ω位と見積もれます。
電解液の場合、これは逆方向でも同じ筈です。
 
電流のグラフを眺めると、二つのカーブの合成のように見える。
閾電圧からは、発生したHプラスイオンやOHマイナスイオンが電流を運び始めるものと考えられる。
それまでは、溶液のpHイオンが運んでいる。
(0.3NのpHは12.2であった。これ以上濃い場合pHメータは正確ではないので測らなかった。)
 
電流カーブの、原点から閾値までのカーブは、水が電気分解していない状態での電流である。
これを非分解電流とでも云っておこう。電気分解が始まり、急激に立ち上がったカーブをつくる電流をを分解電流とでも名付けよう。
電流カーブはおのおのの領域で滑らかであり、閾値のポイントで微係数が不連続である。明らかに違うメカニズムの電流が生じている。
 
結論:0.4Vぐらいで流れる電流は電気分解が起きないイオン伝導の結果であり、方向性を持たないものと思われる。
つまり、ニッケル水素電池が起電力を失っても両方向に電流は流れる。内部抵抗は無限大ではないことが判った。
 
非分解電流は水素イオンや水酸基イオンが電気を運ぶわけだが
これらがそれぞれの電極へ動いて電気を運んだ後、還元されたり酸化されるはずである。
すると、水素原子や酸素原子にならないのか?という疑問が当然わいてくる。これが飽和したら泡になるよね。
で、それは電気分解ではないの?さんざん悩んだ末:答え、「電流が流れたら閾電圧以下でも電気分解がおきる。」というのが正解のようである。
活性化エネルギーは化学平衡の計算に使うときに主たる反応と云うことで意味をなすのではないか。
それ以下でも反応する確率はあるからです。うーむ、完璧ではなかったな。
参考資料
http://www.espec.co.jp/env-test/f-report/f-report5-2.html

そして結論

ニッケル水素の電池の初期状態で考えると、水素吸蔵金属とKOHと酸化水酸化ニッケルとがあります。
で、イオン電流が流れたとして、陽極と陰極にそれぞれイオンが移動するわけですが、
全体はつねに電気的中性条件を保っているわけですから、
OHマイナスの量と金属イオンの量は等しいわけです。
そのときに、イオンになっている金属は必ずアルカリ金属であり、ニッケルではありませんね。
そして、これは転極がおきても同じです。要はやはり気泡が発生することで、決着が付きます。
たまたま水素吸蔵金属の方に水素が発生するときに気泡とならず、吸蔵されるのでしょう。
正極の酸化水酸化ニッケルの方はOHが集まり、水酸基のHを貰って水になるのでしょう。これが充電です。
放電し尽くしてもイオンとなっている金属はアルカリ金属です。
もしこのときに転極が起こり、酸化水酸化ニッケルの方に発生した水素が泡となって水溶液から抜けると
その分だけ水素吸蔵金属の方でも酸素の泡が1/2体積発生するでしょう。
このときも、酸化のための活性化エネルギーが必要なので、その閾電圧を掛けないと酸化しないと思います。
だから、水の電気分解電圧と酸化電圧のどちらが小さいかで、起こる現象が決まるのでしょう。
逆圧が小さいときに起きている現象は泡の発生であることが期待されます。
もしそうであるならば、水素吸蔵金属は酸化せず、発生する泡の量も大したことがないので、
圧力でアルカリ溶液に溶けていまい、気体が外部に抜けなければ、可逆的に電池は復活するはずです。
0.4V程度ならば、1.2Vの順方向電圧で電流が流れているときの約9分の一(15.8[μA]/135.6 [μA] )の電流ですから、
発生した酸素の量もフル充電の18分の一です。 実際には、一度使用した電池を前提にしているので
フル充電の1/3以下の時間しか電流は流れません。この1/3の話は、実はもっと小さいのです。
なぜならば、5本で使っていて全体が限界電圧を下回り、切れたときから起こることなので、
正常電池とダメ電池の容量の差と全体の比になりますから、ケースバイケースですが、
電池のばらつきが10%あったとすると、1/10で,5%とすると1/20なのです。そうすると約1/400です。
そして、さらに酸化開始電圧が5V以上なので、水素吸蔵金属の酸化による劣化は考えなくても良いと思いますが、
まかり間違って酸化されたとしたときでも、全体に占める割合も最大約400分の1ではないかと考えます。
この議論は、完全に起電力がゼロになったとしてからの計算ですから、
起電力が残っている、すなわち、水素吸蔵金属に水素が残っている内はキャンセルして起こりません。
Canon PowerShotPro90ISの6本直列電源のページにあるように、
カメラが起動しなくなって、その内の1本が0.2Vであった事実が示すように
使用終了時ですら起電力は残っていましたので、この反応は起こっていません。
この事実を考えあわせると、ダイオードでバイパスしておけば、さらに安全圏にあります。
ダイオードに電流が流れるようになれば、極性反転も劣化もほとんど起こらないとは言い切れないのですが、
ダイオード・ペア回路はかなり有効です!
 


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