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ペア電源方式

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第3部  新型ペア電源
ネジ締め付け方式の新型5本直列の成功をうけて
ペア電源の方も新型を採用することに決定
お待ち下さい
───
1年2ヶ月経過───
 
お待ち遠様でした。

「京都のTak」様からの制作報告です。
ご覧のように、最新スタビライザー2004年式に作りつけられての登場です。

4PAIR_L.JPG - 46,086BYTES

2本ずつペアの4本直列ですから
電池の配置すなわち銅板の設定に悩みます。
「京都のTak」様のアイデアはこのようになります。


4PAIR_PLETE.JPG - 29,386BYTES

(制作者の談:厚さ1mmの銅板の安定感は素晴らしいですね。)

4本ずつボルトで締め付けます。
全部で8本の電池を1本のねじで均等に締め付けることは不可能です。
私の構想では、2行4列に密着した形を考えて、工作上の壁に突き当たったのでしたが、
京都のTakさんは、4本単位で締め付けました。
結局これがブレーク・スルーでしたね。

4PAIR_HONTAIK.JPG - 38,906BYTES

スタビライザーに取り付けない状態でこうなりますが
コードの最短距離を求めると、やはり、一番最初の形になるでしょう。

4PAIR_HONTAI.JPG - 44,876BYTES

『難しかったのはパテが固まるまでの4本の電池の固定です。
5本ですと上から見て梅の花の形に5角形を揃えればいいのですが、
4本だとぐらついて固定がしにくく、ちょっと手間がかかりました。
なお、片側を固定している時に必要だろうと思って、
大げさなスペーサーを作りましたが、実際には要りませんでした。』

4PAIR_MAKE.JPG - 39,885BYTES

電池の向きを間違えることのないよう
このようにプラスマイナスをマジックで書きます。
これは必須です。

4PAIR_B.JPG - 23,091BYTES

反対側からの写真です。

4PAIR_R.JPG - 37,913BYTES

ご覧のように、カメラはDiMAGE7iです。
スタビライザー2004の安定感と電源の大容量の組み合わせで
DiMAGE7iのシステムとしては最強です。
きっと、ブレのないシャープで良い写真が撮れるでしょう。
ちょっと、うらやましいな〜

♪♥_(^_^)/☆

このペア電源の威力については、その後の使用レポートを
Tak様にお願いしましょう。何枚撮れるのでしょうね。
たぶん、凄く撮れるので、きっと、実験するのが大変だと思いますよ。
以下の旧式ですら712枚でしたからね。

2004年1月27日(火)

歴史

第1部 ペア(並列)電源方式の試み

第2部 ペア電源のあたらしい使い方 
 ( ペア電源回転寿司 ) 


1.理論

DiMAGE7が4Vで動作した事実をうけとめ、
直列5本方式に変わって、
並列8〜12本方式を検討することに決定。

電池が充電された電気を有効に放電し尽くすことが、
デジカメ撮影者にとって重要である。
1セット3時間近くもかけて充電して
1時間しか持たないような現実は納得がいかない。
この現象は、どうやら1つの電池の内部抵抗増加という
”迷惑電池”がもたらす全体責任体制にあるように思えてきた。
しからば、先にダメになった電池を回避する電流回路を考えればよい。
そこで考えたのが、並列回路方式である。
先に、5本直列方式のページに触れているように、
4本直列の2セット並列を、
ここでもう少し徹底してこだわってみた。
発想を変えたら2本並列の4セット直列にすれば
よいのだということに思い至った。
これは、2本ずつ並列にすることによって、
どちらか1本が切れたときにもう1本がバイパスになって、
全体の放電が維持されるという発想だ。
電池ケースは4本直列に入れるモノが売っており、
2カ所電池どうし頭とお尻を直接くっつけているので
きわめて連結抵抗が小さいという利点がある。
あとは、隣り合った2本の電池を銅板を挟んでつなげてやればよい。
隣り合った並列の電池が両方とも切れる頃には
全体の電気もなくなっているだろう。
並列2本が、たまたま、よりによって
”迷惑電池”である確率を計算してみよう。
8本のうち早くなくなる”迷惑電池”がある確率をDとする。
するともう一つ”迷惑電池”どこかにある確率は
おおざっぱな話 Dの2乗 である。
これが並列のペアとなる確率は1/4である。
よって、1/4D*Dとなり、かなり小さくなる。
逆に4D*D倍途中でなくなる事態は防げる。
ただし、残念なことに、
電池の持ちが4D*D倍になるのではないことに注意。
全部使いきる可能性が
4D*D倍になるだけである。

2.製作編

 早速試作に取りかかる。
例によって東急ハンズで
直列4本の電池ケース2つと
6Vのプラグを1本買って来ようっと。
いって来ま〜す。



ただいまー。

 買ってきた電池ケースは
裏表2個ずつで折り返しているモノだ。
念のために2セット分を買ってきた。
ほんとは4本まっすぐに直列に入れるモノが欲しかったのだが、
やはりなかった。ないだろうね探しても。

 写真はすでに接着剤で2個の電池ケースを並べてくっつけてある。
そして、中間の左右連絡用の銅板がすでに取り付けられている。
   ZENTAI.JPG - 43,322BYTES   MIDDLE.JPG - 25,607BYTES

KIDOU2.JPG - 37,750BYTES   
できあがると上左の写真のようになる。
(この写真もその電源で撮影した。)
 上右はこれから作る途中のセットと電極である。
 完成品の方の上部の左右銅板が
連絡していないように見えるが裏の方でショートしている。
下二つは、DiMAGE7に取り付けて起動している写真
(液晶表示と電池蓋があいていることに注意)と、
電池の6Vコードの引き出し方。
ビニールテープでコードの横に袖(そで)をつけて、
その袖を丈夫な透明テープでケースに取り付けている。
こうすると、コードはビニールテープの頼りない固定により、
断線の危険から逃れられる。
DiMAGE7の写真はCanon PowerShot90IS で撮影。

 電極の銅板は全部で5枚:裏の同じ位置に1枚ある。
電池の負極は平らなので、中間銅板はポイントコンタクトになるよう
柔らかい木の上に置いて片側からドライバの先などで軽く叩き出す。
電池ケースの方のプラスチックははさみで少し切り込みを入れておく。
そして、さし込むときに半田ごてをあてがって、
熱で溶かしながらセットするとぴったりとする。
右の写真はそのクローズ・アップである。
5本直列の方式に比べると、
遙かにシンプルで少ない部品なので、
この程度の説明でわかるだろう。
もし、不明な点があり心配でしたら、
どうぞ遠慮なくメールをください。
また、できあがってカメラに取り付けるときは、
必ずテスターなどで出力電圧を6V端子の部分で確かめてからにしてください。
プラスマイナスの間違いなどをチェックする意味でも大切なことです。
プラグの中がプラスであり、
コードについている白い線の方がプラス。
もちろん電池を入れる方向はバネの方はマイナス
絶対間違えないようにしてください。念のため。☆

 ☆さて、できあがって新しく充電された8本の電池をセットする。
出力電圧は5.2Vである。
重さは全部で240gとなった。
5本直列方式が160gだったので、ちょっと重い。
だが、これで、フル充電した電池8本が
平均的な500万画素ファインの写真を何枚撮るか楽しみである。
目標はとりあえず400枚と言っておこう。
600枚ぐらいはいくだろうと密かに思っているが、どうだろう。
来週実験撮影に、どこかに出かけようと思う。
一服すべし。 6月2日(日曜日夕方)

3.実験開始

 結果速報 6/8(土) 新たに、5本直列式で使用した
ニッケル水素電池二組8本をフル充電(1.41V)し、
試作器に装填し、出かけた。
1GBマイクロドライブは500万画素だと714枚しかとれないので
上限がわからないといけないと思い
200万画素でも1/3ぐらい撮ることにし、
望遠側のいったり来たりするかったるいAF動作も多用して
ペア並列電源が切れるまで撮った段階で685枚であった。
 この8本から選んで5本直列にしてやると、
電池表示はふたたびフル充電表示に戻り、
まだまだ20枚撮れ続けているので、
それまでなくなった時点で、最終的な枚数は明日確かめる予定である。
こうご期待。(2セットで700枚は越えています。)

4.予想以上の大成功

調査結果:電池切れの原因を知るために
各電池の電圧を電池用の小型テスター
(使用電流を想定した測定ができるもの)で計った。
すると2本の電池が1.2Vを切っており(1.15Vぐらい)、
残り6本が1.21V強であった。
なんと、はじめてのテスト撮影なのに
ペア2本が同時に切れたようだ。
それとも、まてよ、この方式は4組のペアのうち
どれかがペア同時に切れて終了するのかも知れない。
だとすると、むしろペア電源方式の成果であり、なかなかうまい。
それぞれの電池が
内部抵抗の小さい元気な方から電流がでていき
(注釈:並列抵抗では抵抗の小さい方に多く電流が流れる:
つまり電池の場合、放電するので)、
そろって終了に達することを意味しているからである。
大成功ではないか! 

付記:撮影中は私はいちいち電源のスイッチ操作は面倒なので
パワーセーブ・モード1分でオフに設定して、電源スイッチ・オンのままとり続ける習慣あり、
ほとんど撮影を終了するまで電源は入れっぱなしである。
したがって、しばらく間が空くと切れているので、
シャッターボタンを押してはスリープから起こしている。
こまめにスイッチを切ればもう少し持つかなと思う。

 ※それから、電源とは関係ないが、
マイクロドライブの方が発熱が少ないと感じている。
マイクロドライブを使用する前はCFを使っていたが、
そのときはグリップ(CF部)が結構熱くなった。
マイクロドライブは壊れると心配して使わない方がいるようだが、
わたしは強硬にマイクロドライブを推薦する。
発熱量は電流値の2乗に比例するのはご存じであろう。
流れた電流は機械的な用途(モーター回転)であろうと、
半導体メモリの書き込み(コンデンサーの充放電)であろうと
最終的にはエネルギー保存則により熱となるのだ。
熱くなった方が電流を消費している。
マイクロドライブの記録電流はヘッドの書き込み電流と制御基板の電流であり、
これは半導体のSRAMの書き込み時の
充放電電流より遙かに少ない電流でなされる。
ディスクの回転はじめに少し電流が必要なだけだ。
CFの方も日進月歩だが 
どっちが消費電流が大きいだろうか。
だれがマイクロドライブは電気を食うと言い始めたのであろうか。
勘違いと思いこみが一人歩きをしていまいか。

6月8日(土)深夜

報告:その後どうなったか
ペア電源が終了してから5本直列にして、
結局27枚が撮れただけでした。合計
712枚。
ちょっと、拍子抜けでしたけれど、
しかし、裏を返せばペア電源方式の優越性を物語っています。
電池は8本とも無負荷下(DiMAGE7で使用しない状態)では
電圧1.16V以下で終了していて、
せっかく買った放電器にかけてもランプがつきません。
そのまま充電できます。


考察:というか、つぶやきと提案:
ニッケル水素電池8本で712枚撮れたら、良しとしなければならない。
4本で356枚だから、最高記録だろう。
私の秘密兵器5本直列で電気を絞りきって、
充電量の80%ぐらいは放出しただろうから、これ以上望むのは無理かなと思う。
やるとしたら、並列ペアで5本直列電源の、
まさしく鬼に金棒作戦しかない。
これはやりすぎだ。
さすがの私も、気が引ける。
誰か挑戦してみてください。
 それにしても、4Vで撮れたのはちょっと感動ものであり、
DiMAGE7つまりミノルタ技術開発陣も
かなりまじめにやろうとしていたんだなあと、しみじみ感慨にふける。
いったい、なぜDiMAGE7は電源が弱いとか、
電池が持たないなどと言うことになってしまったんだろうか。
たしかに、はじめから私のような
電池の使い方を要求するわけにはいかない。
8本も入れるようなカメラは売れないし。
それに、だからといって
外部電源でしか動かないカメラを売り出すわけにいかないし。
4本でやるしかないんだよね。
あとは、電気回路を改良して、
終了電圧を電池1本当たり1.0Vに設定するしかないと思うのだが。

一つアイデアがある。
それは、はじめから5本の電池を入れておき、
電池1本ずつモニターしながら
常にもっとも良い組み合わせで4本を直列にする、
スイッチング方式にするのだ。
ちょっとした論理回路をくめばよい。
単純な機械的4本直列にするからダメなのだ。
独立した電池の充電量を100%取り出す工夫を電気的にやるようにする。
すこし、回路が大がかりになりそうだけれど、
小型軽量にするには、知恵がいるのだ。
ミノルタさん、やってみてください。
わたしは、現状の名機DiMAGE7と
8本のペア電源方式プラス5本直列電池ケース予備
でいくけどね。

6月9日(日)宵の口

補遺:デジタルカメラマガジン5月号P.94の図の3とP.95にあるように、
「デジカメはCCDなど5種類の多種多様な電圧を必要とするデバイスを駆動させる
高機能なデジタル製品である。」です。
内部の電圧制御の端子電圧は各部の要求してくる
アクセス電流のため内部抵抗による電圧降下が
パルス状に変動するようです。
その変動幅の下限がカットオフ電圧を切ると終了となります。 
図の3から、パルス状の振動する電圧変動の幅はアルカリ電池で0.1V
東芝電池(株)から新発売のGigaEnergyは0.06Vです。
ニッケル水素電池も
内部抵抗は小さいはずで、それくらいとすると、
わたしのペア並列電源にすると
内部抵抗は半分ですから
パルス電圧の変動幅はさらに小さくなり、
かなり電圧安定度が改善されて、
放電効率が良くなることが確信されます。
ついこの間まで、コンデンサーは
なるべくデジカメに近いところにつけるべきだと思いましたが、
小さい容量ならデジカメ内部に入っていると思いやめました。
5本直列電池の場合、
このコンデンサーが有効な理由も
上述の記事から納得できます。
私はオーディオ回路自作も趣味で
FET直結アンプなどを組んで楽しんでいますが、
こちらは100Vの家庭用電源ですから、
無駄を承知でショットキー・ダイオードなどを使い、
オーバーフロー電流を流して
十分低インピーダンスの高速定電圧電源回路が組めます。
問題はやはり、電池でそれをやることの困難さにあるでしょう。
もちろんレギュレータは使われていると思います。
それがため、デジカメは電池食いなのです。
デジタルカメラ開発技術陣は
ベストを尽くしていると思います。
わたしらアマチュアはカメラ外部で
どうにかするしかないでしょう。

TESTER.JPG - 56,110BYTES
手ぶれ防止のページで開発したカメラ用スタビライザーをつけて、
電圧をモニターしながら撮ったペア電源セット
スタビライザーのおかげで、
直列電源のページの写真より少しシャープかなと思います。
撮影データ。1/64秒、F3.4、ISO200でした。
電圧は4.9Vぐらいを指しています。
こうして電池を入れっぱなしにすると
自然放電が単体より激しいようで、抜いといた方がいいね。
ちなみに動作中の電圧変動はほとんどありません。
いつか、電流を計らなければと思っています。

第2部 ペア電源回転寿司 「ちょっとさみしい話。」

 とりあえず思いついたので実行する前に発表する

ペア電源方式の特徴は
ペアを組んだ並列の電池が
ともに白髪が生えて往生することである。
しからば、フォークダンスの相手を変えるがごとく、
あるいは回転寿司が目の前を動くがごとく
ペアの片割れをずらすことが良かろう。
─── ちょっと、たとえが良くなかったか。(^^;)すみま千円。
すると、切れかかった電池と
新たにペアを組んだ電池がもっぱら電流を放出する。
このステージで4本終了。
さらに今度は2本ずらす。8本終了。さらにずらす。
う…1周りしたか、もうない。
これで、完璧に8本が放電をしつくす原理だ。
もし、4Vが終了電圧だとすると、これ以上の希望はない。
なんか寂しいなあ。

1.接点の形

 ちょっとした物理の問題。
半径Rの抵抗率ρの薄い円盤の中心に半径aの抵抗ゼロの電極をつける。
電極は厚さdの抵抗体の中に埋没しているとする。
薄く切ったバームクーヘンの中央の芯と思えばよい。
そして、外周に同じく厚さdの抵抗ゼロの金属電極を付けて、
さあ、中心と外周の間の
抵抗値を求めよ。

解答をする前に、なぜこのようなことを考えたかの説明。
電池の負極の接点は、全く同じ状況ではないが
ケースとの間で大体こうなっている。
電池の負極は亜鉛のような金属で、銀や銅ではない。
だから、すこし抵抗が大きい。
これをあえて抵抗体と考えよう。
すると、丸い抵抗体の負極の中心に、
接合電極がきて電気を渡すかもらおうとすることになる。
(どのみち、電子が渡るだけだけれど)。
ちょうど、船から岸へ乗船客がわたるさまである。
さて、どのようなブリッジがよいかという問題。
答は簡単だ。なるべく幅の広いブリッジだ。
しかし、もう一つの問題がある。
電池の場合、接点でのミクロな金属原子間の接近が必要なのである。
船と橋のたとえで言うと、結合部の確かさ。
お客が渡ったら重さではずれてしまっては大変だ。
それと、管理人の数。いますね、
船の乗り降りで切符切っている人とか。
人数を数えている人とか。
隙間から人が落ちないように誘導する人とか。
やたら広いと安全管理上問題があります。
電気接点の場合に話を戻すと、
顕微鏡で見たらかなりでこぼこしている
金属表面同士の接触で出来るピンポイント接点の話。
これは、そのミクロな接点数と個々の面積かけたものの総和、
つまり原子レベルで導通が可能となった部分の総面積のことだ。
摩擦力と同じように両面を押しつける力に比例する。
まさに比例するのである。
この場合、活躍するのは圧力だ。
圧力によってピンポイントが少しつぶれて丸い形になる。
圧力は物体を押しつける力を面積で割った
単位面積当たりの力という定義である。
う…すみません。
頭から煙がでている人がいます。
保健室へ運んでください。
いきなり結論へ飛ぶ。
おことわりしておくが、凄い飛躍が行われる。
結論、負極に押しつけられる電池ケースの電極形状は
ある程度の半径のリングがよい。
上の問題の解答結果『半径aは大きい方がよい』ことと、
『面積は小さい方が圧力が大きい』という事実のクロスポイント。
妥協点。並列電極の写真にある中央の窪みは
穴をあける必要がありそうである。

で、解答はどうなったか。
人間、休息が必要である。一服すべし。 
 6月15日夜

【解答】 中心から半径rのところで
薄い幅dのリングのような抵抗体を考えてください。
これが中心電極から外周部電極まで
直列の関係で積み重なって巻かれていると考えます。
厚さdr幅d、従って面積2πr・dで長さdrの抵抗体の抵抗値は、
公式よりR=ρ・dr/(2πr・d)となります。
これをr=aからr=Rまで積分します。
答えはR=ρ・log(R/a)/2πdとなります。
a=Rすなわち中心電極と外周電極がくっついていれば
抵抗ゼロという当たり前な結果がでてきます。
抵抗体に中心電極が完璧にくっついていれば
中心電極は大きい方がよいという結論です。
逆にaがゼロへ近づくと抵抗値は無限大になっていきます。
これが言いたかったことです。
中心電極の大きさは大変重要です。

 類似の問題でお椀にお汁粉をいっぱいに入れて、
中心にサクランボを載せたようなイメージの抵抗体の抵抗値を計算すると、
R=ρ・dr/4πr*rを積分することになり、
答えはR=ρ・(1/a-1/R)/4π となります。
これもaがゼロへ近づくと抵抗値は無限大、
逆にa=Rで抵抗ゼロとなります。
もちろん、お椀が外周電極、お汁粉が抵抗率ρの抵抗体、でサクランボが中心電極です。

 電池とケース電極の金属同士の
ミクロな接点の大きさは押しつける力の大きさに比例しますから、
結論的にいうとミノルタのDiMAGE7iでなされた
バネの強さの倍増計画はかなりな効果があることが解ります。
ネジで締め付けたいくらいですね。   6月22日夜

ネジで締め付けました。

10月26日


第3部 新型ペア電源

ネジで締め付けると接触抵抗が激減して、
内部抵抗が半分のペア電源の利点を活かすことが出来る。
鬼に金棒作戦開始だ!

理論ふたたび

上の追補で述べたように、
デジタルカメラが要求してくる
パルス状の電流リクエストに対して、
内部抵抗の小ささは、電圧降下によって
終了電圧4V(少なくともDiMAGE7はこの電圧でも動いた)以下に
落ちないための最重要ファクターである。

なぜ、ペア電源が優れているかというと、
電池を並列に使うと内部抵抗が半分になり、
したがって、電圧変動幅が半分もなるので、
その分電池の無負荷電圧は低いところまで使われると云うことにある。
ニッケル水素電池の場合、0.1V低いところまで使えば
1.2で終わっていたものが1.1Vまで使われる。
これは充電量の60%でおしまいになっていた電池が
95%まで使い尽くされることを意味する。
0.05Vでも90%、0.025Vでも80%の使用率となる。
凄いことだ。
60が80になるわけだから、
単純計算で180枚撮れたカメラが240枚撮れる計算である。
ニッケル水素電池の容量で云えば1600mAが2133mAになる
わずか、0.025V下がっただけでそうなるのだ。
で、ニッケル水素電池の内部抵抗は0.056Ωであるから、
並列にすると0.028Ωである。
カメラが最終通告をするときは、
そのカメラの最大電流の時であるから、
DiMAGE7の場合1.2Aとして計算すると
0.0366V電圧低下が押さえられる。
この結果使用率は84%まで改善される。
細かい計算であるが60%が84%になると
180枚が252枚、その差72枚となる。
2240mAの大容量電池を使っていることに相当する。
しかも、放電率が高いため終了時の電池の電圧は
1.1V以下となり、ほとんどど放電器に掛けなくとも良い。
すぐに充電できることになる。
これは一石2鳥である。

このアイデアを実現し、勝利するのを阻む3つの問題点がある。

1.工作が難しい。面倒だ。失敗するとやる気を失う。これが3つではなく1つ。
2.接触抵抗がどうしても小さくできない。接触不良で切れやすい。
3.気温が低くなってきて、ニッケル水素電池の内部抵抗は大きくなっている。

1と2は新型方式でクリアする。問題は3だ。

冬になると電池の持ちは悪くなる。
これは電池全般にある傾向である。
化学変化で電気を作っているから当然だ。

ニッケル水素電池の原理はダイオード・ペアの記述の下の方にあるけれども
くりかえすと、6NのKOHを電解液として
陽極に水酸化ニッケル(Ni(OH)2)
陰極に希土類を含むニッケル合金
(LaNi5など:実際には色々ある)
の水素吸蔵金属を用いる。

充電

陽極に外部電源のプラスをつなぎ、陰極にマイナスをつなぐと、
まず陽極では水酸化ニッケルのOHが陽極に電子をあげてH+を放出し、
アルカリ溶液のなかのOH−とともに水になる反応が起こる。
Ni(OH)2+OH−→H2O+(O)NiOH+e−
水酸化ニッケルからオキシ水酸化ニッケル
(ONi(OH))になって、Niは2価から3価となる。

つくられた水は強アルカリ溶液を
ほんの少し薄める。
(ここ覚えて置いてね!)
一方陰極ではK+イオンが
陰極から電子をもらってK原子となる。
水の電気分解では
「H+イオンが還元されて(H)原子となり、ついでH2分子となって、
泡へと成長します。」と書いてあるかも知れませんが、よくよく考えてみると
このHプラスはどこにいたんですか?
強アルカリでは存在しないはずでは?
だれがここにH+を呼んだのか!
実はそれがKOHのカリウムなんですね〜。
この有名なイオン化傾向一番(ほんとの1番はLiですが)のカリウムKプラスは、
陰極から電子をもらっても喜びません。
いったん金属Kになった直後、
すぐ近くにいる水へ電子を押し込みます。
OH−を作るためです。
というか、水からH+をおん出して自分がK+イオンに戻ります。
なんで、こんな面倒なプロセスが必要か?
いきなり陰極にある電子が
水の中のH原子を引き剥がせばいいのだが、
電子にそんな芸当はできません。
それが出来るくらいなら
純水も電気分解できます。
とういわけで、めでたくH+がH原子になりました。
(ついでにHOHは減りました。陰極ではKOHの濃度が上がるのです。)
水素原子はすんごく小さい。水素分子にしたってすんごく小さい。

(余談:あまりに小さいので、ゴム風船を作ったって
ゴムの分子の隙間からどんどん漏れてしまって、
いつのまにか小さくなってしまう。
ゴム風船の表面には危険な水素が、
火を付けるなら今だといわんばかりにひしめいている。
これで気球船ヒンデンブルク号は燃えたのだ。
だから、現在ではヘリウム風船です。余談終わり)

水素吸蔵合金は、粉末を固めて
アルカリ処理をして隙間だらけにしたものだから、
これまたすんごく水素を吸着する。
この結果、普通ならば電気分解のように水素ガスの泡となって
容器がぱんぱんになるところ、
何も起きないで収まる。
このような状態の、まあ余裕のある段階でやめたのが
1C充電と呼ばれるものだ。
世に出ている急速充電器は460mAで充電するが
、これは0.3C位の充電率だ。
その気になれば3.2A(2C)位で、
温度管理をしながらばんばんやり
充電ピーク電圧の値から-6mVから-8mV位下がったところで
充電をトリクル充電似きり替える。
充電終了をこの電圧の下降で決めるのが
Δヴィ法じゃよ。(−ΔV法)。
では、なぜ電圧が下がるかって? 
そうさなあ、たぶん瓶の口効果でしょう。
もっとちなみにいうと、充電電流はパルスです。
この方が、良く入るんだって!
おもしろいと思うのは、
この様子が漏斗で醤油を他の瓶に移す様に似ていることだ。
定常的に注ぐより、細切れに入れるよね。
ん?ちょっと違うか?
トリクル充電というのは
50mA〜80mA以下でちびちび充電するやり方だ。
なぜ、トリクル充電に切り替えたかって?
引っ越しの状況と似ている。
大急ぎで引っ越しの荷物を
トラックから運び入れるのを想像してください。
庭と玄関に物があふれてしまうでしょう。
奥に収まるまでは入り口付近の密度が高い。
急速充電は、なんたって急速だから
陰極表面にあふれた水素が
奥の方まで拡散するのに時間が掛かるのだ。
瓶にコーヒーなどを詰め替えたとき、
とんとん叩くと詰まっていき、
実際はもっと入るのに似ている。
この場合、とんとん叩く役割をしているのは熱振動だ。
だから、高温の方が速く反応が進む。
さて、トリクル充電は充電器のランプが消えてからちびちびやっています。
だから、ランプが消えてすぐ外すとフル充電になりませ〜ん。
これを知らないと、充電量の違う電池が携帯されることになる。
その結果、ダメ電池も生まれる。
おめでとう!ばんざ〜い…じゃなかった。

放電

次は放電を詳しく詳しく見てみよう。
充電の結果めでたく水素吸蔵合金は
腹一杯に水素を吸着している。
陽極でも水酸化ニッケルはめいっぱい酸化している。
ここに、外部負荷を通して陰極と陽極をつないでみよう。
つないだ導線を流れるのは陰極から出てくる電子です。
なぜ、電子が出てくるか?
結局電池の起電力は接触電位差というやつですね。
水素を腹一杯持った金属と、酸化した水酸化ニッケルの
電子に対するエネルギー準位の違いです。
って、全然解らないじゃないか、これでは。
うむ、どうしよう。
普通の化学の教科書に書いてある風に云えば簡単なんですが、それならば
水素吸蔵金属からHが電子を陰極に放出し、
Hプラスイオンとなって溶液の中に飛び出します。
(と、化学の教科書はなんの疑問もなく書きます。
問題はなぜ、な〜ぜ飛び出すかですが、書いてなんかありません。)
さて、この勢いを起電力といっても良いのですが。
で、水素によって吐き出された電子はいつまでも陰極にいられません。
クーロン反発で外へ(導線の金属へ)押し出されていきます。
外の世界には負荷抵抗(DiMAGE7)というおもしろげな物が待ちかまえております。
そこを、パチンコ玉が釘を下るがごとく落ちていった先に陽極がありました。
電子 「おう!なんだっておめえそんな不景気な面してやがんでぃ?」
オキシ水酸化ニッケル 「いや、その酸素が俺にしがみつきゃがってよう

「ちょっと待ってな。俺が何とかしてやらあ!」
と、Ni=O の間に電子がもぐりこみ
 Ni−O−のように酸素の手を一本剥がしました。
この瞬間、そばにいた水の分子の水素原子が
この機会を逃すはずがありません。
K+イオンの唆しもあって、
水は水素イオンをひとつ放りだすことに賛成します。

OH−をあとに残して、すかさずH+と成り、この酸素の手を握ってしまいます。
ニッケルは3価から2価となり、ホット一安心。
正常な状態に戻りました。
めでたし、めでたし。

この説明は、本当は順序を逆にして
陽極から始めることもできる。

充電時に無理矢理Niにくっつけられた酸素君、不満でしょうがない。
「僕は、水素といるときが一番幸せなんだ、いいだろう?」
という名文句を吐きながら、水から水素を奪って水酸基になります。
略奪結婚だ。
すると、陽極は電子欠乏状態(H+がきた状態
)ですから、
外に繋がった導線から電子を奪います。
導線は負荷抵抗から奪い、負荷抵抗は導線から奪い、
最終的に陰極の水素吸蔵合金から奪います。
電子を奪われた陰極は
つまりNiイオンなどになって溶け出さざるを得ませんが、
溶け出すのは吸着していた水素原子です。
水素原子はイオン化傾向が小さいので
飛び出したHプラスイオンは
瞬間的にOH−イオンに捕まります。
これで、めでたし、めでたし。



ここまで長々と怪しい話をしたのは、
要するに化学反応が起電力の源で、
化学反応はイオンや分子の拡散で
進行していくものであることが云いたかったのである。
拡散速度は液体の分子運動の速度に比例する。
ってことは、高温ほど拡散速度は大きい。
電池は高温ほど化学反応が速く、内部抵抗が小さい。
と、こうなるのです。
この逆、寒いときは内部抵抗が大きい。
電池は暖めた方が内部抵抗が小さい。
使用時の環境は体温のぬくもり位が丁度良いでしょう。
電池は充電も放電も発熱しますから、
電流さえ流れてくれれば良好な温度を保つはずです。
DiMAGE7のグリップに入っているときは
電池は放電熱で「ぬくい」のですが、裸ですと冷えるかもね〜。

すると、奥の方に入っていってしまった水素は
なかなか出てこなかったりして、
起電力として間に合いません。
カメラは、ダメダシをします。
しばらく撮影間隔が開いて電池が冷えてしまうと、
ふたたび電源をONにしたとき電池マークが急に点滅アウトになって、
「ありゃ、さっきまで真っ黒だったのに切れた。」
ということになります。

いったん切れたと思った電池も、
しばらく寝かしておくと起電力が戻ってきます。
とりあえず、ニッケル水素電池の温度特性でした。(続く)
次のURLを参照してください。
http://www.chem.osakafu-u.ac.jp/ohka/iwakura/Jrese.html
ニッケル水素電池の内部抵抗、
温度を変えて測定する必要性がありますね。
厳密な測定は困難なのですよね。
しかし、これは重要な問題です。
この事実を知らずに、電池の持ちを議論しても埒あきません。
くりかえします。
寒いときは電池は内部抵抗が増えるので、速く切れます。
このときにも、ペア電源は有効です。
内部抵抗は半分ですから。

2 製作編

一番上にもどる。

11月5日夜

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