なぽちゃん式自動給仕器 Ver3
重力による落下の法則で、筒にある餌が自動的に下に落ち、猫が手で掻き出すことが出来るスペースを四方に設けます。これなら、絶対餌詰まりの心配はありません。ちょっと、出過ぎる嫌いはありますが、全然出ないで、猫が困り果てるよりましです。
 多頭飼い(10匹)の我が家では10日間の旅行でも、飼い猫が餓死しないようにする仕掛けが必要でした。

 下部のアップを先にごらん戴きましょう。底板に高さ2.5cmぐらいの囲いを作り餌が外に出ないようにします。この底板のサイズは全体がひっくり返らない大きさに設定すればいいのと、後は置き場所の都合です。写真のものは一辺が38cmです。餌が入る筒の高さは60cm。筒は底盤との間に3cmの隙間(猫の手が奥まで入る)が出来るように3角形の支柱で浮かしてあり、断面が四角形で、一辺が16cm(内部は13.6cmほど)。ですから内容積は8160立方cm。約8リットルですね。カリカリ(固形餌)が2.7kg入りで二袋弱入ります。
 これで、親猫2匹、子猫8匹の計10匹が10日間なんとか、飢えをしのげるかどうかですが、過去の経験(1匹で9日間の旅行で1.5リットルは食べ残した)から、まあ、従来からの自動給仕器(連結して2.5リットル)もあることだし、外にもノラ猫用の自動給仕器(1袋強入る)もあるので、いざとなったら大丈夫、と思って今回使用に踏み切りました。果たして結果はいかに。
果たして、丸10日間の海外旅行が終わって帰ったら、全部食べ尽くして空になっていました。次には、もう少しサイズアップが必要です。でも、食べ尽くしていたと言うことは、この装置が立派に機能したと言う証拠です。機能しなかったら、餌詰まりで落ちてこず、大半が残っていたでしょうから。そして、猫たちはガリガリに痩せ…。と、そんなことは起こりえません。なぜなら、この筒は断面がすべて一定で、垂直に立っているので、途中で引っかかる部分が皆無だからです。餌は全部下に落ちます。
さて、次の写真は、最初のなぽちゃん式自動給仕器Ver1と自動給水器です。これは前回問題なく機能しました。この方式は、何回も改善に次ぐ改善を経て、斜めに傾けて設置してあります。最初は垂直に設置しましたが、それだと重力に軸対称となり、かつ下に行くほど狭いので「瓶の口効果」で、カリカリ餌の形状によっては餌詰まりを起こすことがあったのです。ちなみに間の空間は防寒ベッドです。

 この自動給仕器はペットボトルの下を少し斜めに切り、出過ぎないようにペットボトルの破片で軽く蓋が出来るようになっています。蓋の隙間は1cmくらいあけて、餌詰まり防止の針金が仕掛けられております。この針金はペットボトルの中程から中心軸に降りて、これが外に引き出され、猫が手で動かすと、針金が出口付近の餌を動かし、餌が落ちる仕掛けになっています。しばらく使うと、猫はこれをいじると餌が落ちてくることに気がつき、やるようになります。必死ですからね。もっとも、人間が最初に目の前で何度もやって見せますが。

 右の自動給水器は、下の水受けの水を猫が舐めて水面が下がると空気が入り、代わりにペットボトルの中の水が、空気の流入により落ちてくる仕掛けです。これは市販の給水器と同じ原理です。(理科の時間で教わった水銀柱の「トリチェリーの真空」の原理ですが、この場合は、(大気圧)−(中に入った空気の気圧)の力が水の重さと釣り合って、ペットボトルの口が水面から離れない限り落ちてこない、という仕掛けなのです。)
左、ペットボトル自動給仕器の下部詳細、針金で作った固定台。この方式はここに不確定要素があり、時として餌詰まりを起こした。下の角柱方式の方が確実である。
 実際、今回使用した結果、角柱の餌を食べ尽くした猫たちは、このペットボトルの餌を食べようとして、皆が寄ってたかって食べようとした結果、固定の針金が外れ、倒れて下に落ち、結果、そうなるともう餌は出せないので(重力が働かず)、中に餌があるにもかかわらず食べられない状態で床に転がっていた。であるからして、角柱方式も絶対に倒れないことが必要である。猫には餌の出てくる原理など知るよしもないから。
左下は窓の外に置いてある、野良猫用のなぽちゃん式自動給仕器Ver2。雨よけにプラケースを付けてある。これも、最初は手で皿にやっていたのだが、子猫と母猫のために、旅行に出かける前に急遽作ったものです。
 これは一方向に傾斜した板を餌が滑り落ちる方式で、餌を食べる面が一つなのとだんだん断面積が狭くなる容器なので、若干餌詰まりを起こします。しかし、これは辛抱強く掻き出すと出てきますので、これも、完全に食べきります。

右下、今回の新方式Ver3は筒が4本の支柱で底板から完全に浮いていて、四方から猫の手が入り、最後の一粒まで掻き出せることが最大の利点です。

 この方式は最初踏み切るまで躊躇しました。というのは餌が出すぎて乾燥し、匂いがなくなって食べなくなるのを怖れたからです。ですが、今回全部食べ尽くしていたので、杞憂でした。
左は、もともと一緒に餌を食べに来ていた母子で、ある時から子猫2匹を家の中で保護するようになり、しばらく行動を共にしなくなっていた。久しぶりに対面したのだが、子猫が母猫を慕っていっても母猫は子猫を避けるようになった。
フー、と怒って、近づくなといっているいる瞬間。








 
中、怒られて、ボー然とかたまっている子猫の様子







 下、子供はショックのようで、悲しそうな表情。だが、母猫の目にも、仕方がないんだよと言った表情が読み取れる。
 野良猫は、早く独り立ちしないとね。
厳しいね。
 その後、この母猫は捕獲され避妊手術を受けた。若い猫だが、こういった知恵は、本能といってしまえばそれまでだが、すばらしい。生きていくことの厳しさを教えてくれる。これは、生物の親子すべての宿命であるが、猫は厳然とそれを実行しているだけに、わかりやすく、教育的である。
 キタキツネの子離れの儀式など、もっと厳しく感動的なことを思いだした。
うちの家族に混じって、寒い冬の夜を過ごすその子猫たち。

我が家には、2年前に家に来た三毛の子猫が成熟し、昨年5月、母親となった。名前は「ぽにょ」。その、ぽにょが生んだ子猫は長男小太郎、次男ぶに、3男カプチーノ、長女くるみ、次女とめ、の5匹です。それぞれが全部驚くほど兄弟姉妹といえど1匹1匹能力も性格も違い、人間と一緒で千差万別である。これは、観察していると本当に、勉強になる。総じて、猫は遠慮深く慎重で、優しく、謙虚である。餌が豊富だと互いに譲り合うし、辛抱強く順番を待つ。血縁関係に関係なく、お互いに舐め合う光景をよく見る。よほど人間より品性がよい。

 ちなみに、最後に保護した子猫2匹は目が美猫の母親似で、ぽにょの子供達より可愛いい。

 後、この他に、ぽにょより後生まれのサバの雌猫シオちゃんが居て、ぽにょと幼友達なのですが、ぽにょより先に4匹生んで、可哀想なことに生き残ったのは鼻先が黒い雄の「熊坊」1匹だけになりました。この母子二匹も夜は暖かい電気毛布の上でぽにょ家族と一緒に過ごしています。

結局、ぽにょ家族6匹と、熊坊家族2匹と、母猫に捨てられた安寿と厨子王の2匹の、全部で合計10匹が膝掛け電気毛布の上で、たぶん冬の期間だけは一緒に寝ていることでしょう。
 ちなみに、秋口、餌は1週間で2袋ぐらいで、外餌が1袋ぐらいでしたが、完全に冬になると、活動量が減り、付いた皮下脂肪が体温の逃げるのを減らすらしく、かなり餌の消費量は減りました。食欲の秋の6,7割以下でしょう。半分かもしれません。これも、人間と同じですね。哺乳動物共通の冬眠期です。だから、皮下脂肪を蓄えられないノラは冬が越せないで死んでしまいます。可哀想です。
ある日の出来事
猫便所

通常は猫砂という消臭を兼ねた固まる特殊な砂ですが、10匹もいるとふつうの猫便所では賄い切れません。それに、この猫砂方式は猫のうんちはその表面を砂がくっつくだけですが、おしっこは分量に応じて砂の団子を作り、これが消費量の大半を占めます。水洗トイレとまで行かなくても、このおしっこの始末だけでも合理的にしたいと思い、考えてみました。結論を言うと、猫は、やはり掻き落とす習性があるので砂は依然として消費しますけれど、また、時々集めて始末しなくてはいけないことに代わりはありませんが、通常より砂の消費は確実に半分以下となりました。 
左が全体像です。下にふつうの猫トイレを置きます。本当は、ここがもっと深い容器だと良いのですが、まずは実験的にこれで行きます。あまり高くなると猫が乗ってくれません。床に穴を開ければいいのでしょうが、それは今後の課題です。

楕円形の穴が前後に二つ開いていますが、猫が前向きと後ろ向きとの両方出来るようにです。

 慣れてくると向こう向きでばかりするようになりますので、片方でいいように思います。

この方式の一番の特徴は穴を右の写真のように軽いプラスチック版で自動的に開閉するところです。これで、匂いがシャットされると、猫もあまり砂を掻きません。
後で具体的に図を書いてお示しするつもりですが、今のところ、取り急ぎ概略を述べると、このトイレはコンパネという合板製でニス塗り、よく見てもらえばわかるとおり、穴を結ぶ中心線を境に左右少し持ち上がり、おしっこの液体が穴に流れ落ちるようになっています。穴のシャッターは120度くらいの角度に折り曲げた期限切れのクレジット・カード2枚に錘をつけて、重力で普段はぴったり閉まる状態を保つようにします。その開閉の回転軸は市販の蝶番ではなく、折り曲げた谷に太さ1.2mmの針金を接着剤で付けて回転軸とし、その軸の両端を穴を開けたL字型の金具で受ける方式です。板への接着も軸のカードへの接着もすべてホット・ボンドという低融点のプラスチックで止めます。これらの工夫により、右の写真でわかるとおり、左右合わさった扉の上にうんちをすると、うんちの重さで開いて、下に落下します。そして、すぐ閉じます。猫が上手にこの真上にうんちをしてくれることが条件ですが、少し外れても、見ている人間が手を添えて(へらなどで)落としてやると、猫はそれを見ていて学習するらしく、だんだんうまくできるようになります。初めのうちはどうしても砂がいっぱいあるところ出したがりますが、だんだん上手くなります。おしっこも同様です。おしっこの方がむしろ外すことが多いのですが、これも、周りに掛けた砂ごとヘラなどで落としてやれば、匂いもすぐに消えます。うんちの方が匂いがするので、うんちがすぐに落ちると、猫は砂を上にかぶせる手間が省けて具合がよいです。それでも、砂を掻いて落としていますが。このとき、匂い消しの「クエン酸」を砂に撒いておくと、砂と一緒にクエン酸が糞尿と一緒に下に落ち、匂いもあまり気にならなくなります。「クエン酸」はアンモニアを中和し、「重曹(炭酸水素ナトリュウム)」も匂い全般に消臭効果が高いです。これを振りまくと絨毯の匂いとか、車の中のカーペットや座席の匂いも嘘のように消えます。お試しあれ。妙な芳香剤など、根本的な消臭効果はありません。
 この「なぽちゃん式猫便所」は、ふつうの砂トイレで十分しつけられた後に、同じ場所に設置して、猫が便意を催して「おべんじょ!」と思って乗っかるようにします。いきなりこれは厳しいでしょう。このトイレも、定期的に砂も汚れもすべて落として水で洗い流して干します。
 
 出来れば落とす先が下水へ繋がる水洗トイレだと完璧なんですけれどね。その場合の砂はトイレに流せるタイプです。
水は、60cmのプラスチック・ケースになみなみ入れて3週間は持ちました。もっと、持ちそうでしたが、帰ってきて新鮮な水に変えました。これも、上で紹介した、大型のぺットボトル方式を最初考えたのですが、部屋が冬の季節は電気毛布などの暖房機によるドライヤー効果で極度に乾燥するので、その加湿器を兼ねて、ただのプラケースに方式にしました。これに蓋をして、10cmだけ隙間を開けて水が飲めるようにしています。そして、開けてある面積に比例して水が蒸発して、湿度を保ちます。湿度が異常に下がると、猫も人間も粘膜をやられ風邪を引きます。これで、湿度は65パーセントを下りません。気温はエアコン暖房の18度設定と膝掛け電気毛布の中温度で、猫が寝ている床付近の温度は外気温に依りますが12〜14度くらいになります。毛布の上はもっと暖かいです。外(三浦半島の1月、2〜5℃)よりよっぽどましです。

 物の本では猫は水を飲まないと書いてありますが、それは嘘です。ノラは確かに水をふんだんに飲めない環境なので、あまり飲まないかもしれませんが、ふんだんに飲めるような環境にしてあげると、いっぱい飲みます。これも、人間と一緒です。つまり、動物は大脳の大きさだけ違いますが、間脳と脳幹は同じなので、喜怒哀楽という部分をはじめ、やることなすこと一緒なのです。人間の独りよがりな思いこみで猫たち動物を固定観念に押し込めますが、さほど、違いなどありません。