2016年秋 
セミアコとして復活したギターの音・演奏
このように響きを考慮して彫りました…この作業で一番活躍したのは丸鑿でした。丸鑿は凹凸の両面に対応して2種類あります。内側を丸く彫る鑿が主役でした。ギターの外形、すなわちジャーマン・カーブを彫るときなどは外側の丸鑿です。
 
 ボディの中心を通る背骨は強度を必要とするので残してありますが、その中心も、骨のようにちょっと空洞を作りました。これも、響きを期待します。

 この空洞化には、新調した電動ルーターが初段階で活躍しました。一定の深さで正確に彫れますので、表まで突き破ることはありません。後に表側のジャーマンカーブに合わせて精密加工用の鑿で彫り進みます。

サンバースト塗装が終了し、乾燥中の様子です。

 ところで、この塗装には実はちょっと苦労しました。最初、はサンバースト塗装は、中心部をライトオークのステインを塗り、次第に赤っぽいステインのマホガニーを塗っていき、一番外側を黒っぽいステインを塗ればできあがりかと思いきや、そうは簡単に問屋が卸しませんでした。
 まず、当初の方針で塗装すると中心部のライト・オークが黄色みが足りず、全く地味で寂し〜い感じです。そして、赤を期待して塗ったマホガニーが、ふつうに塗ると赤紫ですが、ライトオークと重ねると、ぜんぜん赤っぽくないのです。さらに、外側の黒っぽい色は、こんな色のステインは実は売っていなかったので、木材の防腐剤の“ブラック”というのをコンプレッサーで噴霧塗装しましたが、防腐剤なので相当厚く塗らないと黒くなりません。そして、このステインは油性なのか、水性なのかいまいちはっきりしない代物で、充分に乾かないと、仕上げのクリア・ラッカーが綺麗に載ってくれません。ただ、本当の黒のラッカーだと、中間色が出ませんので、結果的には、この防腐剤が良い感じの仕上がりをもたらしました。なかなか渋い色合いなのです。いかにも日焼け、といった風情で、火であぶったみたいになります。キャンプ用のバーナーで本当に火であぶると、恐らく焦げ目がまだらになり、グラデーションのコントロールがうまく行かないかも知れませんが…。
 さて、黄色みと赤みが足りないのではギターのサンバースト塗装としては戴けませんので、なんとかしたいと思い、反射的にあまり深く考えずホームセンターにステインを探しに行きました。
 ステインもペイント仕様とラッカー仕様があるんですね。クリア・ラッカーで仕上げるんだったら、ラッカー・ステインでないといけないのですが、すでに、ペイント仕様で縫ってしまいましたから、「後の祭り」というか「けんかの後の棒ちぎり」です。それに、純然たる黄色とか赤のステインなど無いのです。そこで、思案しました。昔の万年筆用のインクはどうだ。ところが、今時のホームセンターなどに消耗品としての瓶に入ったインクなど全くないのです!そりゃあそうでしょう、あったとしても今時の万年筆、スペアカートリッジだし、それさえ、文房具専門店に行かないとあるわけ無かったのです。衝動的にホームセンターに来たのが間違いでした。ホームセンターには、生活必需品しか無いのですものね。そこで、再び思案しました。そうだ、プリンターのインクがいくらでもあるではないか!私はプリンターの詰め替えインクは捨てるほど持っています。なにしろ、昔、インクの連続供給の装置を考案してHPを作ったくらいですから。その当時、石神井にお住まいの詰め替えインクを製造している有名人”インクじいさん”が、私のHPに感激していっぱい送っていただいたものがまだ使われずに死蔵されています。実際に使ったのは市販品のインクでしたが、これらは、純然たるRGBおよび黄色と黒です。水性ですが、乾けば問題なくラッカー塗装が出来ます。これに決定!家に帰り、実行してみると、大変グッド!ティッシュに少しだけ沁ませて、ぼかし塗装も出来ます。これで、うまいこと写真のような仕上がりまで持って行くことが出来ました。
上の写真が、ちょっと高級な4mmのシナ合板で裏蓋を作り、それを木工ボンドで貼り、乾燥させている様子です。以前はラワン製3mmのベニア化粧板で叩くとぼんぼんと安っぽい音がしたので、今回は響きも考慮してすこし奢ったのです。ただ、叩くと安っぽいのですが、総合的にギターとして鳴らすと結構いい音なのが不思議でしたが。シナ合板は1mm厚いだけですがかなり堅くて丈夫です。さらにいい音が出るかなと期待しました。
 クランプで止めているのは、ギターの裏も若干曲面となっており、押さえつけないとぴったり貼れないからなのです。5mmほど高さの相対値があります。熱で曲げれば良いのでしょうが、それほどの曲面では無いので、木工ボンドが乾けば大丈夫でしょう。時間がたてば、合板もなじんできて剥がれることも無いはずです。
 苦労しましたが、意外と結果はうまく行き、ご覧の通りの仕上がりとなりました。本物に比べて、木目も見えて野性的なサンバーストです。この方が私の好みに合いましたね。当初は売っているサンバーストをめざしたのですが、結果オーライでした。これからは、この方式でサンバーストは行こうと思いました。クラシック楽器のニス塗りの雰囲気もあるではないですか!
ンバーストの63年モデルの写真によくある、ベストショット角度で撮った写真が次のものです。バインダーはベージュ色を選びました。純然たるホワイトもあったのですが、これも正解で、サンバーストを引き立てていて、なかなかグッドルッキングだと自画自賛。ただ、仕上げのクリアラッカーがちと失敗なのが玉に瑕というか大怪我でした。これは、下地の黒の塗装部分がラッカーを塗ると一緒に溶けてきて、しわしわに縮んだからです。水サンドペーパーでやるとこんどはブラックの防腐剤が剥げてきてしまい、塗り直しになりました。ふたたび、ラッカーを上塗りすると、またブラックが溶けルという繰り返し。恐らく、充分に乾燥しないとこうなるのでしょう。その充分という時間が読めません。早く音も聴きたかったので妥協しました。周辺がでこぼこの仕上がりとなりましたが、中心部は充分綺麗ですので、いったん塗装は終了、この写真のような仕上がりとなりました。
いったん取り外したネックを取り付け、さらにギターマイクやビブラミュート・アーム、ピックガードとボリュームなどを取り付けて、いよいよ音出しです。
 それにしても、63年モデルのこのボリュームの位置は魅力的ですね。取り付ける前に仮に部品を置いてみたとき、このコード・ジャックのない”顔”に、思わずぞくっとして、にんまり、嬉しくなりました。白いピックガードは3mmの塩ビを使い、新しく作ったものです。クリアラッカーで表面も艶っぽく化粧を施してあります。型どりは65年モデルですが、周囲を金属用の刃を付けたジグソーで切り出し、ヤスリで斜めに研磨して、これがなかなか良い感じ。市販のピックガードの中には、3ピースといって、白黒しろの3層になっているものがあるのですが、私は断然、この白のワンピースが好きなのです。元々のオリジナルがそうなっているからです。ボディの周囲を縁取るバインディングもワンピースがいい。
音出しはフェンダーの真空管アンプで行いました。
最初の印象が、なんか懐かしい音だなというもので、ソリッドギターにはない温かみのある音です。元のこのソリッドボディの時には冷たく堅かった印象で、いまいちだなと思っていましたが、これなら断然音楽的な音です。音の粒立ちがはっきりとし、エッジはくっきりとしていながら余韻が低音豊かに鳴り、音階がはっきりしています。これは演奏が楽しくなりそうです。
 セミ・アコといっても、ほんの少しの空洞化なので味付け程度だと思うのですが、それでも、大いに効果はありました。以前とは大違いの音です。やはり、ギターはボディの材質や構造で音が違うという確信を持ちました。

 このギターを用いて演奏したものを以下にご紹介します。最新録音です。今年(2016年)の12月10日ぐらいから録音しはじめました。比較的マイナーな、先に普通あまり演奏されない曲を選んで録音しました。そのうちにメジャーな曲もやりますが、私はマイナーな曲が好きなのです。

 …と、思って取り急ぎ70曲ばかり演奏してから再生してみたら、録音レベルがオーバーしていて音がひずんでいました。
以前、録音したときには感度の良いヘッドフォンで録音レベルも良かったのですが、どうもMDR−F1という昔のSONYのモニター・ヘッドフォンに換えたので、これはオープン。エアー方式で感度が低いので、演奏中の音圧レベルを上げて弾いてしまったようです。後で、波形をチェックしたらサチュレートしていました。ヘッドフォンを換えた理由はコードが長いので演奏しやすかったという、ただそれだけのことです。

 とりあえず、演奏はミス・トーン頻発ですがお許しいただくとして、許容範囲の曲15曲だけを、こんな具合というところでお聴かせします。あとで、すべて演奏し直します。結構、荒い演奏で、後で聴くとがっくりです。もう少し、丁寧に弾かないとダメですね。これらの録音はBOSSのJS−10という装置で、エフェクター内蔵のかなり優れものです。ご存じの方も多いと思いますので詳しくはRolandのHPをご覧になって下さい。その、エフェクターの60sFUZZでベンチャーズ・サウンドを作ると、かなり、そっくりな音が作れます。(65年ライブの「あの音」も)これらの音が下のサンプルで聴けると思いますが、とにかくデジタル録音はサチるとひどく歪むので、お聞き苦しい点があると思いますが、取り急ぎ、こんなところでご勘弁を。バックは本物のベンチャーズからいただきました。CDから読み込んでリードギターを極力キャンセルします。完全にはノーキーの音は消せません。カラオケ機能は完全でも、元の録音がいろいろ位相処理などを行っているためです。また、ピッチも微妙にずれていて、これらは基準音440Hzに極力そろえるのですが完璧にはいかないので、耳のいい人はチューニングが合っていないことを感じるかも知れません。すべて、私が悪いのです。お許し下さい。では、お耳汚しをしましょう。 

演奏曲目

1.Runaway   2.アイ・ライク・イット・ライク・ザット  3.グリーン・オニオン  4.ホット・ライン  5.ミスターモト
6.秘密諜報員  7.レッツ・ゴー    8.ユー・アー・マイ・サンシャイン  9.朝日の当たる家  10.ワイルド・ウッド・フラワーズ
11.フランキー・アンド・ジョニー12.センチメンタル・ギター13.夕日が沈む14.ナインス・ウェーヴ
15.テキーラ


ご参考のために録音した70曲の曲名だけ書いておきますね。

(このHPの全容量が10GBだったかな、全部アップロードできるか実は心配です。mp3一曲約3MBですので、このページだけだったら300曲はイケルでしょうが、他にも写真等のコンテンツがあるのです。)

…と思ったら、計算間違いに気がつきました。3000曲までアプロードできますので、安心して全部リンクを付けました。今後、演奏し直しても、同名でアップロードしますので、リンクは生きます。また、このページで聴く方が私も楽なので、反省するためにリンクを付けました。まだ、残りがいっぱいあるのですが、これから25日までいろいろと忙しく、ギターを弾いている暇がありません。新録音の続きは25日以降になるので、失敗録音でも、我慢して聴いてみることにします。

ちょっと時間が出来たので一部弾き直しました。ついでに、新たな曲も追加しました。


0011−007ブラック・サンド・ビーチカウンターポイント夕日は沈む、フライト・オブ・ファンタジー
ドライビング・ギターエスケープギンチーアイ・ライク・イット・ライク・ザットインスタント・ギター
ハワイ・ファイヴ・オーロンリー・ガール若さでジャンプアウトオブリミッツマイ・ボニー・ライズ、
秘密諜報員ランニン’ワイルドセンチメンタルギターシャ・ラ・ラスワニー・リヴァー夜空の星
朝日の当たる家ワイルド・ウッド・フラワーズミスターモトver2、ギター・ブギ・シャッフルレッツゴー
蜜の味あの娘のスタイルバットマン二人の銀座ラウンチーインスタントギター2


ビーチ・ファズバードロッカーズ黒い瞳ブルーシャトーカンディ・コンコクション
ダイアモンズエルグレコフィーヴァー
ギャンディーダンサーゴーゴー・スローゴーン・ゴーン・ゴーン
グリーングラス、、ヒィーヴィー
ライズラヴポーションNo9
ナインス・ウェーブ、パーティ・イン・ラグナピンク・パンサープリティ・ウーマンサン・アントニオ・ローズ
さすらいのギタースクラッチン
シーズノットゼアソーラー・レーススチールギター・ラグストップ・ジ・アクション
帰ってこなかった男トゥモロウズ・ラブジョーカーズ・ワイルドウーリー・ブーリー南風
ラヴ・シック・ブルースエル・グレコver2ピンと針
,

重複する曲は省きました。あと、一部、どうしても気に入らないのでリンクしません。後ほど復活するはずです。
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 裏蓋はシナ合板の4mmが貼ってあります。以前にモラレスという非常に重くてネックも太かったギターで一度セミアコ体験がありますが、その時は3mmの化粧板を貼りましたが、その時は、裏蓋を叩くとボンボンと安っぽい音がしたものです。でも、楽器としての総体的な音は、意外とエッジの立った歯切れの良い綺麗な音になったのにはびっくりしました。それで、このたび、もう少しましなギターでやってみようという次第です。4mmのシナ合板は、ベニアより遙かに堅く、叩くとコンコンという音です。それと、裏も少しだけ中心部が膨らんだ曲面なので、クランプで止めて木工用ボンドが乾くまで押さえつけてあります。
 
この後の作業は残念ながら写真に撮ってありませんので、突然、完成した姿を次にご紹介します。

 このように、サンバースト塗装を施してあります。サンバーストは、試しに挑戦したのですが、意外と初めての割にはうまく行きました。楽器の色については、クラシック楽器のバイオリンやチェロなどのように茶褐色がしっくりしますね。いかにも、潤いのある響きが聴こえてくるような気がするからです。

 これからのギター塗装はサンバーストに決まりだな。最初はインクブルーにしようかなと思ったのですが、この板目が見えるラッカー・ニス塗装はなかなか貫禄があります。
作業過程
ネックとビブラミュート台座がまだ付いていますが、傷だらけとなったジャパンのモズライト。ファミリーバンド”Famitures”で散々活躍したのですが、最近は永いこと久しく死蔵されていました。

 このほかに、盛岡一夫氏がモズレーのところでモズライトの作り方を教わり、作ったという”Avenger model”というのを持っていますが、こちらの方が、さすがに本家に近くてカラカラとした本物に近い音が出ます。現在、そちらはネックを細く加工してバインディングを白いパテで付けてあります。そちらが一番最初に買った“モズライト”でして、それまであった日本製のエレキギターに比べて図太い音が出たものです。グヤトーンやテスコ等と比べてずいぶん違う音でしたが、盛岡一夫氏の会社がつぶれて倒産放出品として売りに出されていましたので、16800円というめちゃくちゃ安かったものですが、いまなら、逆に、もしかして骨董的な価値があるかもね。
 
 この白のモズライトは、給料を取るようになってから買った初めてのギターで、いつ買ったか忘れましたが、35年くらい前になるのかな。ずいぶん長いこと使いました。左側に見える大きな傷は、上から鉄製の望遠鏡のフレームが落ちてきて出来ました。そのほか、フレットも3回以上擦り合わせて、だいぶ低くなっていますので、スキャロップにしてあります。上のように裏から大きく彫りましたので、ボディだけ持つと凄く軽いです。ネックやパーツが付いた状態は、元の重さの8割と言ったところでしょう。軽いギターの方がいい音がするらしいので、出来上がりが楽しみ〜 ♪V(^−^)/<
 今回の録音に関する補足説明

 要約して、項目毎に解説します。

1.リードのリバーブはバックの音に合わせて、一体感を作るために同程度に掛けています。そうしないと、リードギターだけ別室で演奏しているみたいな感じになります。

【詳細解説】
一見、エコーに聞こえるのは、カラオケ機能で消えなかったノーキーの音です。ということは、私の音の方がちょっとタイミングが早いのか?いや、遅くてもエコー音みたいに聞こえます。ずれている証拠ではあります。ヽ(´Д`ヽ)<
 リバーブは、かけ過ぎると、ピッキングのニュアンスが消えるので、実は、私もリバーブはなるべく掛けない主義なのです。オン・エアのはずのライブ会場で、多くのアマチュア・バンドの人たちが、やたらとリバーブを掛けて演奏しています。逆に、ライン録りこそ、部屋の反響音をマイクが拾わず、自然な残響音が掛からないので、リバーブは必要です。録音機のリバーブはそのためにあるのです。アンプのリバーブは特殊な音が欲しい時だけ使うモノです。(たとえば、ドンさんのテケテケ)
 ノーキーもリバーブの効き過ぎは嫌いで、ライブもほとんどノー・リバーブで演奏しているくらいですが、オン・エアですから会場の自然な残響音が付きますよね。この残響音はオン・エア録音の際に残響音専用のトラックで録音しておき、後から適度に左右振り分け付加するものです。ぜんぜん残響音の無い演奏録音はコンシューマーの元には製品としては出てきませんね。演奏者と、プロデューサとでは目的が違います。

2.バックとの音量差は、消しきれなかったノーキーの音を隠すために少し大きめに演奏
します。そうしないと、ものによってはノーキーとの二重奏となってしまいます(/ ̄∀ ̄)/~


【詳細解説】
上述の録音に付加される残響音には、波形の位相的にカラオケ機能を使っても消しきれないリードの音が入ります。カラオケ機能というのはステレオ録音された音源の差信号(逆位相にして左右足し合わせるとリードのような同位相、同音量で入っている音が消える、という理屈を使います。(これは簡単な回路を組めば作れます。私も昔作りました。)
ところが、位相の異なる残響音に紛れ込んだリード音は同位相ではなく、中途半端な位相のずれが紛れ込んでいます。(残響の専用マイクの位置がずれていますのでね。)これは反転回路で逆位相にしようとしてもだめで、中途半端な位相差の音ですので、差信号にしても消えてくれません。どんなに頑張ってもだめです。ちなみに、モノラル録音は、差信号を足し合わせると全部消えてしまいます。2000パウンド・ビーがそうです。

3.この録音はオンラインで、オン・エアのマイクは使いません。ベンチャーズのようなインストゥルメンタルは、特にオンラインが適しています。ヘッドフォンでモニターします。

 
 問題はこの装置の録音はトラック毎にやっているわけでは無く、バックの音にかぶせてリードをステレオの真ん中に定位録音するオーバー・ライト(重ね書き)なのだということにあります。ですから、録音後は何も編集できません。音量も、エフェクターの掛かり具合もあらかじめセットされた音です。

【詳細解説】
 Roland Quad CaptureというDTMの装置も持っていますが、こちらはトラック毎に録音でき、編集は自由自在ですが、カラオケは別に作って入れないといけませんし、これは曲をコピーしたり繰り返しの区間リピート練習などの機能が使い勝手が悪いので、それこそカラオケの無い自作の曲を録音するときには使いますが、それ以外は不便で、もっぱら機能満載のJS−10です。 Roland Quad Captureは、音は24bitサンプリング周波数194KHzで、とても良いんですけれどね。(これで作成した曲も、そのうちに公開します。)

 リバーブは、バックの音の中にリードギターを埋没させる目的で、バックと同程度に掛けて演奏するのが臨場感を出すには効果的ですが、あまり掛けると改造ギターの生音から遠ざかりますね。でも、どのみち、楽器は演奏した結果のパフォーマンスが肝なので、なにもエフェクターを掛けない演奏が良いわけでも参考になるわけでも無いでしょう。この楽器を使ってバンド演奏すると、たとえばこうなる、というつもりでご紹介させていただきました。ご了解下さい。

 録音で大事なことは、モニターの特性ですね。ヘッドフォンの特性が良くなかったら、それで聴いて良い塩梅でも、他の再生装置で聴くと不味いときもあるからで、プロのミキシングルームではモニター・スピーカーという味も素っ気も無い音質の、しかしながら極めて中立的で公正な音作りされた特別なスピーカーでバランスを取り、味付けをして製品化します。そうしないと、最大多数のコンシューマーが満足する録音にならないからです。あいにく、私のモニターに使っているヘッドフォンはSONYのMDR F-1というちょっとは高級なヘッドフォンですが、プロ仕様では無いですからね。まして、他の人のヘッドフォンやスピーカーの音質はまちまちですから、ある人はグッドといい、またある人はノー・グッドということは、大いにあり得ます。どのみち音楽も趣味・道楽の一環ですから、アマチュア・プロを問わず、好き嫌いの世界です。だから、あまり、細かいことは気にしないことですね。


蛇足:昔の日本の歌謡曲やポップスは、今聴くと非常にリバーブがかかっているものが多く、辟易しますね。上手い歌手は生で、オケ無しで歌っても上手だし、その方がより心に響き、うっとりします。実は、昔、平山三紀が駆け出しの頃、よみうりランドのモデル撮影会に、他の若手女性歌手達と、モデルとして参加したことがあったのです。その時、余興としてオケ無しで歌ったのが、衝撃的に上手でびっくりしたことを思い出しました。私はそのころ写真に凝っていまして、モデル撮影会などにも行っていましたが、あのシーンは鮮烈で、今でもはっきりと覚えています。歌は彼女のデビュー曲「真夏の出来事」でした。撮影モデルとして来ていたというのも希有なら、オケ無しでも、他の若手女性歌手の中で抜群に歌がうまかったというのも驚愕の体験で、ある意味、奇跡としか思えません。ジャンヌ・ダルクが神の声を聴いたという”天啓”めいた、というと恐れ多いのですが、そんな貴重な経験でした。(脱線しますが、ジャンヌ・ダルクは魔女裁判で火あぶりの刑で殺されたのですが、その後400年間、フランスでは悲劇のヒロインで、1920年にカトリック教会は列聖し、何年前忘れましたがバチカンも、ついに、彼女を"聖人"として認めましたね。ウクライナ出身の美女ミラ・ジョボビッチ主演の”ジャンヌ・ダルク”の衝撃的なラストシーンの映画を見た後だっただけに、そのニュースには感動しました。)その時の平山三紀の写真は、私の宝ですが、きっと、いまでは肖像権に触れるので公開できませんな \( ̄∀ ̄*)<

蛇足その2
 
 ところで、人は何故音楽にリバーブを掛けるのか?お風呂で歌うと上手に聴こえるのはなぜか? 私が思うに、残響音というのはミステリアス(神秘的)な感じがするからだと思いますね。はじめて迷い込んだ洞窟や見知らぬ部屋に紛れ込んだ、特に夜の公園の雰囲気がしますよ。その、不安や緊張感が“塩味”という隠し味的に感覚を刺激し、わくわく感を高める効果があるのですね。こういうのをセンス・オブ・ワンダーともいいますな。
 だから、リバーブもさじ加減ですね。好き嫌いはあるものの、程度を越えると不気味です。スプートニックスという北欧のエレキ・バンドの音はエコーマシンでめいっぱいこの感覚を刺激する音作りでヒットし、一種独特の幻想を作り出していましたね。ボー・ウインバーグというモノマニアックなリーダーが6BM8(知る人ぞ知る当時の最もポピュラーな出力複合真空管のこと)や12AX7(初段用複合管:昔のオーディオマニアが必ず使った真空管で、現在でも、アンプの初段に使われている)でイコライザ回路を作り、独特の音を作っていました。それと、テープを使ったエコー・マシン、および、当時としては先進技術だった無線でギターの音を飛ばしていて、これが警察無線に混入して怒られたとか、ボー・ウインバーグ、時代を50年先走っていましたね。スプートニックスの音楽、私も好きで15曲ほどレパートリーに入れてあります。もちろんJS-10で、そっくりな音を作ってです。これも、なかなか良いですよ。
BOSSのeBAND JS-10によるベンチャーズをバックバンドとした録音の紹介 

この装置は機能満載の優れものです。いかなるカラオケソフトも本物のベンチャーズにはかなわないでしょう。CDから読み込んで簡単にリードギターが消えたバックでリードギターを演奏すれば、君はもうノーキー・エドワードです。ただし、練習次第ですが。
 この装置についてはつRolandのHPをご覧下さい。


私は、これに出会って長年の夢が実現しました。ベンチャーズ・ファンにとってはベンチャーズをバックに演奏するのが最高の幸せなはずです。

代表的な機能

1.パソコンとJS−10をUSBケーブルを繋ぎ、付属のeBand List Editorを立ち上げます。CDからベンチャーズのファイルを読み込みます。すると、次からはこのリストが画面メニューに表れます。これはCDに入っている楽曲のフル録音盤です。つまり、普通に鑑賞できる録音です。これをカラオケ化するにはどうするか、というのを解説します。本体表年にある[speed]ボタンを押すと[PHRASE TRAINER]という画面になります。ここの3つの機能が重要です。まず、左から順番に
 
A. Speed:

 再生速度が100パーセントから50パーセントの間で連続的に可変再生できます。これは曲をコピーするのに威力を発揮します。これとA<>B区間リピート設定ボタンにより、コピーしたい部分を何回でも練習できます。65パーセントまで落とすと、かなり難しいパッセージも繰り返し聞くことで音の細かいところまで解析でき、ほとんどの曲は習得できます。

※ ただし、ノーキーの指使いまではわかりませんので、長年の修練と経験とセンスがものをいいます。ハンマリング、プリング、チョーキングは必須で、サムピックを使用した右手と左手の協調運動で音を出すテクニックが是非とも必要です。フラットピックだけで弾くのは不可能です。ノーキーはレコーディングでは特にサムピックで弾いていたものと思われます。音のニュアンスが右手のすべてを使った場合と、ピックだけで全部弾いた場合とではぜんぜん聴こえ方が違います。開放弦も交えての音の綴り方はカントリー・テクニックですが、これも多用しています。指使いが同じでないと、レコードの音は出ません。フレットのポジションについても、同じところを弾かないと、同じ音には聴こえてきません。これは、特に強調して置きたいところです。

B. Pitch Fine

 CDに入っている録音にはピッチが基準音440Hzの調律からずれた録音になっている曲が多数あります。
 これは、この機能をONにしてやると6音階半まで調節可能です。それも非常に細かいピッチで出来ます。

C: CENTER CANNSEL

 というのがカラオケ機能のコントローラで、ステレオ録音された左右のどの位置にリードが録音されていても、理論的には完全にキャンセルされます。普通、リードというのは音の波形の形が左右で同じですから、片方だけ+−ひっくり返した逆位相の信号にしてやり、足してやると消えるのです。式で書けばR−Lです。これは左だけ逆位相にして足したことになります。R+(−L)です。RとL両方に同じ音量で入っていると、差し引きゼロですね。
 JS−10ではリードがR100からL100までの微調整が出来ます。このカラオケ機能は最強です。ただ、レコードを作るに際して、通常、ライブなら環境音(客席やホールのエコーなど)を、ミキシングの段階で残響音トラックに録音した音を適宜加えますから、この音が入った録音はキャンセルしきれません。完全に180°の位相角になった音が作れないのです。なぜなら、残響トラックの録音マイクは、メインのRLのマイクと位置が違うので、リード音の位相がずれた音が残響音トラックに混じるからです。リバーブとしてでは無く、普通の音として録音されてしまいますので、これがキャンセル後に聴こえてしまいます。 まあ、完全にゼロになってしまうと、かえって演奏しにくいこともあります。リードから突然はいる曲の場合は特にそうです。また、ノーキーが小さな音で合奏してくれていると、タイミングがわかり、センスが磨かれ、演奏技術が上がります。

以上がカラオケ機能のメインです。これだけでも充分優秀なのですが、

2. 音作り

 JS−10はさすがエフェクターの名門ローランドですね、様々なエフェクターが内蔵されており、音作りがそれこそ他に抜んでて強力で、65年ライヴの音からスプートニックスのあの音まで再現してしまいます。かなりそっくりで、嬉しくなりますよ。また、それぞれの楽曲にあった音の編集が出来るので、曲毎にエフェクターのパラメーターを変えたものが、曲を切り替えるたびにプリセットされた音に変わりますので、いちいち選曲するたびにエフェクターをいじる必要はありません。プリセットしたパラメータには名前が付けられ「65年ライブ」とか「CLEAN MOSRITE SOUND]とか好きな名前を付けて保存しておけば、後で微妙に編集できて、音作りの”追い込み”ができます。演奏していて、ちょっと違うな、と思えばいくらでもパラメーターをいじってそっくりな音に近づけるのです。ちなみにビンテージ・アンプにしか付いていない往年の「トレモロ」も付いています。サイドギターに使えばパイプラインでひと味違う音が付けられます。

3.録音機能

 これがまた、普通のアンプシミュレータ等には無い機能で、これがあるためにベンチャーズ・マニアには福音なのです。散々練習したら、赤い録音ボタンを押して、成果を保存できます。ただし、カラオケにリードギターの音がセンターに定位してオーバーライドした演奏音ですから、編集は出来ません。これが出来るともっと良かったのですが、JS−10ではそこまでの機能が無いのです。録音トラックをもう一つでも二つでも設けられれば、編集できて、納得のいく音で録音できるのですがね。


以上、概略、JS−10の特徴について説明しました。