新・太陽光発電システム 
  
平井則行 2022年6月29日

 太陽光を直接鏡で反射して集め、水を熱し、高圧蒸気を発生し、蒸気タービンで発電機を回すシステムです。
原子力発電も火力発電も基本的に同じ理屈で、水を熱してタービンを回し発電するメカニズムですが、熱源としてウラン235の崩壊熱や化石燃料を燃やして得た熱の代わりに、鏡による集光の熱、というところが異なります。鏡は地上に設置した平面鏡で、1枚が1m四方、アルミナイズしたプラスチック鏡、100万枚を使用します。一枚で、理想的には太陽常数1.37kWの光エネルギーを受けますから、これを、すべての鏡が地上の1点に反射して集めることにより焦点となったボイラーには100万kwの熱が集まり、これで生成される高圧水蒸気でタービンを回します。
 反射板としてのアルミの反射率は約89パーセントであり、太陽と焦点であるボイラーとの間の幾何学的な角度が必要となりますので、実際のエネルギー効率は60パーセントを下るでしょうが、仮に、1枚あたり1kWだとしても100万枚で100万KWとなり、平均的な原子力発電所1機と同程度の出力となる計算です。※実際のエネルギー効率はタービンの効率と発電機の変換効率などでもっと下がります。したがって、最終的には鏡の枚数で調整し100万KWを得る、ということです。

 技術的の最大の問題は、太陽の日周運動、すなわち地球の自転による太陽の移動に鏡を自動追尾する手段です。
太陽とボイラーのなす角度の半分が鏡の回転になります。これは鏡とボイラーの位置関係で決まるプリセット角を付けた1軸回転(まだ頭の中だけで検討し、数学的に証明したわけではありません。ただ、地軸の傾きと自転という1軸回転で発生した太陽の動きに合わせた回転なので、地上の固定点(ボイラー)と固定された鏡と動く太陽という幾何学的な問題ですので、1軸回転でしょう))で実現できる筈です。天体望遠鏡の赤道儀ほど複雑で柔軟な機構は必要ありませんし精度も求めなくてよいでしょう。平面鏡から反射された光が100万個集まる点の面積はおよそ、空気による拡散が無ければ、1平方メートルですから、ボイラーがそれより大きく設計するので、誤差はかなり大きく許されます。むしろ、少しばかりバラついた方がボイラーの温度を考えたとき安全です。実際、真夏の晴天で100万枚の鏡から来た光による熱エネルギーは途方もないものです。

 そもそも、このアイデアはアルキメデスのBurnningMirrorsという逸話が元になっています。アルキメデスが攻め寄せる敵の船(木と布で出来たローマ軍の船)を、多くの鏡の反射光で燃やして撃退し、彼の故郷シラクサを守ったという故事が下敷きになっています。手鏡という、人間の動きで光を集める話なので、かなりローテクな話なのですが、これを機械化して精密化し、かつ大規模化するわけです。





















太陽光発電パネルとの比較
エネルギー変換効率が15パーセントといわれる太陽光パネルですが、一般家庭の屋根の面積で出力3〜5KWぐらいです。上の計算で100万KW の出力が得られたら、20万世帯分になりますね。実際、1家庭で5KWという電力は使用しません。100W電気器具50台ですよ。電子レンジでも使用時約1.5kWですので、冷蔵庫、洗濯機、炊飯器点けたまま電子レンジを使用して5KWでしょう。同時に使用したら普通ブレーカーが上がりますね。でも、20万世帯が同時に5KWをフルに使うことはまず無いので、その5倍、100万世帯の需要に応える供給量と考えられます。真夏では電子レンジの代わりにエアコンと考えればいいでしょう。